- WEBサービス&アプリ提供者
株式会社オービックオフィスオートメーション
基幹システムの運用にはIaaSではなく専用サーバが向いている理由
- クラウドサービス(IaaS)
- 専用サーバーサービス
※本事例の内容は、2016年1月時点のものです。株式会社日立公共システムと日立アイ・エヌ・エス・ソフトウェア株式会社は、2018年4月1日に合併し、株式会社日立社会情報サービスに社名変更しました。 東日本大震災をきっかけに自治体ではインフラの持続性が重要課題となりました。 しかしながら、基幹ではないWeb サービスには予算が割かれにくく、持続性とあわせてコスト削減も求められています。自治体向けコンテンツ管理システム(CMS)「4Uweb/CMS」を手掛ける日立公共システムでは、さくらの専用サーバを活用することでこれらの課題に対応でき、さらに顧客を広げています。
日立公共システムでは、首都圏を中心に自治体向けのWeb サービス構築を行っています。その中心サービスとなるのが、自治体向けコンテンツ管理システム「4Uweb/CMS」です。以前は、サーバーハードウェアを庁舎内などに納入するオンプレミス型での構築が中心でしたが、現在は庁舎外で運用する形態への移行が進んでいます。
移行のきっかけとなったのは2011年の東日本大震災です。震災では多くの庁舎が被災し、オンプレミス型でホームページを運用していた自治体では大事な避難・救援情報を配信できませんでした。「オンプレミス型のホームページ運用では、自治体の担当者がサーバーを管理しているケースが多く、障害対応も自分たちで行わなければならない場面があります。サービスの継続性も含め、自分たちでシステムを持ちたくない、管理したくないということから、オンプレミスを辞めてクラウドにという流れになっています」(日立公共システム 坂野氏)。
自治体の要求仕様が広がる中、日立公共システムでは「引き合いをいただいても、費用感が折り合わず無理ですと断っていたことが多かった」(日立公共システム 橋本氏)という状態が続いていました。「ご担当者さんの中には、クラウド型にすると、資産を持たず使用料になることから、価格がオンプレミスの10分の1くらいになるでしょ、という感覚を持たれているところもあって大変です。もちろん自社グループに銀行向けなどに使っているクラウドもありますが、ホームページ向けには過剰です」(坂野氏)。
そこでたどり着いたのが、最速10分で物理サーバーを準備できるなど、クラウドの使い勝手を兼ね備えた「さくらの専用サーバ」でした。従量課金ではないため単年度予算方式の自治体向けにマッチし、価格競争力が高いので限られたホームページ向け予算にも対応できるようになりました。
現在の4Uweb/CMSの主要なシステム構成は、自治体から離れた北海道をメインに、大阪や東京をサブ、日立公共システム本社のデータセンターにもバックアップを用意し、ハードウェアと回線を多重化した形になっています。データセンターが国内に3 拠点あることで、自治体の地域によって分散のさせ方を調整できることもメリットです。また、「一般のクラウドサービスは集合住宅で、うちは一戸建てになります」(坂野氏)と説明することで、クラウドキーワード先行の方にうまく違いを理解していただいたり、ハードウェアの物理独立が要求仕様になっている案件に対応できています。
ビジネス面でのメリットの1つは、引き合い時の作業効率向上です。「データセンターの要求仕様というのは、建屋が震度いくつに耐えられるか、地層はどうなっているか、近隣に火災のもとになる工場などがないことなど、かなり細かく厳しいです。昔はいろいろなところへ調査をしていたのですが、さくらさんのデータセンターを使うようになって、その部分の作業が確認レベルで済むようになりました」(坂野氏)。営業担当がインフラ部分に懸念材料を抱えず、システム構成の提案に集中できることも大きなメリットになっています。
価格競争力を得たことで各自治体の要求仕様に応えられ、日立公共システムではここ数年でリプレイス案件を実施してきています。さらにその成功事例を聞きつけて、これまでお付き合いのなかった自治体にも導入が広がりました。「たとえば、長野県の自治体案件は主に口コミで広まりました。ある自治体では、何でうちに営業に来ないの?と怒られたぐらいです」(坂野氏)。
4Uweb/CMSは関東圏だけでなく、全国の自治体で新規に導入されるようになってきています。既存のリプレイス案件よりも新規案件のほうが多いという典型的な成功事例です。
実際に専用サーバーの運用を始めてみて改めて実感したのは、オンプレミスの運用と比較して障害対応が迅速になったことだそうです。オンプレミスで障害が発生した場合は、実質的に保守要員が現地に到着してからスタートになります。「全国に保守員がいるわけですが、ハードのプロであっても個別のサービスやシステムを熟知しているわけではないので、その段取りは手間です」(坂野氏)。「つい最近も、いろいろやり取りした挙句、ハードディスクの故障だけだったことがありました」(橋本氏)。
専用サーバーの運用では、障害時に最初からシステムを熟知した保守要員とデータセンター側で調査を開始し、ハード側なのかシステム側なのかの問題の切り分けが速やかに行えます。ハードに問題があればその対応がデータセンターによってすぐに行われ、システムの問題であればそのまま保守要員が対応に当たれるので、時間短縮になります。
本記事で紹介している「さくらの専用サーバ」は現在、新規お申し込み受付を終了しており、後継サービスとして「さくらの専用サーバPHY」を2020年7月28日より提供しています。