導入事例

クラウド化を目指してデータセンターへ。さくらインターネットだからできる“リフト&シフト”

日本鋳鉄管株式会社 様

日本の社会インフラを支える日本鋳鉄管は、健全な経営と高品質な製品・サービスの実現とビジネス競争力を高めるため、より高度なIT活用を目指して急速に舵を切っています。たった数名で行ってきたオンプレミスシステムの運用から、将来的なクラウド“シフト”を念頭に、さくらインターネットのデータセンターサービスへの“リフト”を実施しました。

課題
小規模なIT部門で急なクラウド化は不安
BCP/DRの視点も不足
IT運用の負荷増大にも懸念
効果
DCからクラウドまで一気通貫のサービス
東京/大阪/北海道の3拠点
運用を専門とする豊富なパートナー

小さなIT部門では高度なIT活用に届かない

企画部 システム室長
渡邊克也氏

日本鋳鉄管は、強靭で延性のある“ダクタイル鉄管”を主力製品として、上下水道やガス、工業用水や農業用水などに用いられる配管を製造・販売する事業者です。このほかにもガス向けのポリエチレン管、マンホールとして用いられるダクタイル鉄蓋などの製造・販売も行っています。
 日本国内の水道管は基本的に規格化されているので各社とも独自の新素材や付加技術などを開発して差別化を図っています。日本鋳鉄管では、GX形と呼ばれる最新規格の製品において、独自に開発した外面耐食塗装を採用し、管路の長寿命化を実現しています。
 近年、ダクタイル鉄管の全国需要はピーク時の3分の1にまで落ち込んでおり、競争が更に激化しております。水道という規格製品が中心の公共事業において、製品だけで競争力を強化することは困難です。そこで注目したのがITです。
 当時の日本鋳鉄管ではホストコンピュータを導入し、それまで手作業で行っていた業務をシステム化することで業務効率化を目指しました。一定の効果は得られましたが、年が経つにつれて運用コストの大きさが課題となりました。
 そして2009年ごろ、ダウンサイジングを目指し、業務パッケージをベースとしたシステムへの更改を実施しました。しかし、水道業界の独自性もあってパッケージをそのまま利用することは困難で、数多くのカスタマイズを実施してきました。その結果、数多くの不具合と改修が発生しました。IT人材も不足し、たった2名のシステム室で数百名の社員と子会社・全国拠点が利用するITを統括しなければならず、負担は限界に達していました。本格的なIT活用まで手が回らないという現状でした。
 「現代ビジネスにおいてデータ分析はあたりまえの施策ですが、当社ではやや取り組みが遅れていました。2018年に就任した日下社長は“経営に必須”と判断し、ERPの本格導入や管理会計の実現、それらのBCP/DRにいたるまでを改革し、“ITで会社を運営しよう”と決断したのです。しかし、少人数のシステム室で改革を実行するのは負荷が大きいため、必要な部分は信頼できる外部事業者へ委任しようと決めました」と、企画部 システム室長の渡邊克也氏は述べています。

さくらインターネットでクラウドへの階段を登る

IT部門の負荷を軽減するため、システムをクラウド化するという手法は一種の流行になっています。しかし、少人数のシステム室にとって、サーバからネットワークまでを一気にクラウド化することは困難でした。一部のシステムは保守契約が残っており、ハイブリッド運用は煩雑になってしまいます。
 とは言え、パブリッククラウドであればインフラの運用から解放され、プロフェッショナルに任せることができるようになります。将来的にシステム室のリソースは、よりビジネスメリットの高いIT活用へと振り分けるべきだと考えました。
 そこで注目したのが、さくらインターネットのサービスです。さくらインターネットは、従来型のハウジングやレンタルサーバからVPSやIaaS、専用サーバや高性能コンピューティングまで、幅広い包括的なサービスが特長です。東京、大阪、北海道(石狩)にデータセンターを持つため、BCP/DR環境の構築にも向いています。
 既存のシステムを預けるところから始め、将来的なクラウド化まで一気通貫で利用できるとすれば、さくらインターネットのサービスは日本鋳鉄管の理想に合致します。さらに同社の経営陣は石狩データセンターを見学し、その堅牢性や安全性を確認・確信していました。
 「さくらインターネットにはIT運用を専門とするパートナー企業が多く、共同で手厚いサポートを提供してくれるというのも、私たちにとって非常に重要なポイントでした。例えば遠隔地の石狩データセンターで何か問題が発生したとしても、現場に出向くことなく対処を任せることができるのです。リモート管理の設備も整っており、IT担当者として安心してシステムを預けることができると考えました」(渡邊氏)

余裕ができてやりたいことが見えてきた

日本鋳鉄管では、一部のシステムを仮想化基盤に統合、またレンタルサーバも併用しながら、10数台のサーバをハウジングで石狩データセンターへ“リフト”しました。さらにクラウド型の監視サービスを追加して、システムのモニタリングを行っています。ハードウェアの見直しを図ったことにより、以前よりも快適に動作しているとのことです。
 基幹業務アプリケーションを中心に移行をはじめ、半年後には製造実績データを収集するサーバの移行も実施しました。このシステムは非常に古く、パーツの交換もままならないほどでしたが、仮想化で延命することに成功しました。
 「まだ移行の道半ばですが、完全にさくらインターネットへ切り替えることができれば、業務を1日1時間は削減できると考えています。IT運用を委任したハイパーボックスは、運用フローの見直しまでサポートしてくれます。トラブル対応を含むフローが確立すれば、有事の際でも安心して見守ることができるようになるでしょう。私たちの負荷は大幅に軽減され、余裕ができ、やりたいことが見えるようになってきたと実感しています」(渡邊氏)
 今後日本鋳鉄管では、既存アプリケーションを更新するためにハードウェア強化を図っていく計画です。また、IoTやBIを含むデータ分析基盤にも注目しています。さくらインターネットの多種多様なプラットフォームを活用し、よりよい運営を実現したいとのことです。目標であるクラウド化はまた検討中ですが、積極的に進められていくことでしょう。
 「ITは、従来のような“業務効率化”ではなく“業務高度化”のために活用したいと考えています。IT運用の負荷から解放されれば考える時間が取れるでしょうが、私たちの知見のみでは実現が困難です。数多くの経験を積んでいるさくらインターネットには、私たちのIT活用の相談役として、アドバイスやコンサルティングを含む幅広いサービスを提供してほしいと考えています」(渡邊氏)

本記事で紹介している「さくらの専用サーバ」は現在、新規お申し込み受付を終了しており、後継サービスとして「さくらの専用サーバPHY」を2020年7月28日より提供しています。

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日本鋳鉄管株式会社
事業内容
上下水・ガス・工水・農水等のダクタイル鉄管/ダクタイル鋳鉄異形管/ポリエチレン管/ダクタイル鉄蓋/弁類・栓類/その他鋳鉄製品/各種付属品の製造および販売、水道管路敷設工事・場内配管工事など
設立
1937年