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株式会社 CDC 研究所
「性能」「セキュリティ」「コスト」でさくらを採用。日本の半導体産業を支えるクラウドサービスが稼働開始。
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運用型広告レポート作成支援システムである「glu」を中核にして、広告業界向けに特化したコンサルティング、システム開発を展開するアタラ。同社は、より一層の顧客サービス向上を目的に、データセンターの刷新を決定。性能やコストはもちろん、高いサポート力を評価し、さくらインターネットを選びました。
企業の「ATARA(新)しいもの」「ATARA(新)しいアイデア」「ATARA(あったら)いいな」の実現を目的に、2009年9月に設立されたアタラ合同会社(以下、アタラ)。同社では、「常にマーケティングにおける最先端のテクノロジーとサービスを提供することで、お客様のビジネスの役に立ち、その結果、お客様のみならず業界、経済を活性化する」という企業理念に基づき、システム開発、アトリビューション分析、運用型広告コンサルティングの3つを柱に事業を展開しています。
代表取締役CEOの杉原剛氏は、そんなアタラの特色と強みについて、こう説明を加えます。
「アタラは、広告業界向けに特化したコンサルティングとシステム開発を事業として展開しています。運用型広告プラットフォーム構築や大手広告代理店で経験を積んだメンバーが多数在籍しており、“質の高い”運用型広告の実現を支援する運用型広告コンサルティングが最大の強みです」
「運用型広告」とは、1回の露出またはクリックあたりの単価を入札して、出稿場所を購入する広告のことで、データ処理のためのプラットフォームが重要になります。
そんな運用型広告のレポート作成を支援するシステムが、アタラの「glu(グルー)」です。gluは、インターネット広告で取得したさまざまなデータを自動的に収集し、カスタマイズ可能な形でレポート化する仕組みです。運用型広告の場合、いつ、どこに広告を出稿するかで効果が変わるため、ポートフォリオの見極めが肝心となります。gluは、そうした見極めを大きく効率化するレポーティング・システムです。
「運用型広告のレポートは、広告代理店の担当者が手作業でデータを集めて作成していましたが、この作業には多大な労力と時間がかかります。しかもレポートを作成することが目的ではなく、レポートから分析した結果を、次の広告出稿に生かすことが目的です。そこでレポート作成を100%自動化すれば、広告代理店の作業負荷は大幅に削減できます。そのためのシステムがgluであり、すでに大手広告代理店の50%が採用し、中堅・中小規模の広告代理店でも採用が進んでいます」(杉原氏)
gluは当初、他社のデータセンターで運用されていました。しかし、サービスの拡大につれて、トラブルが増え、トラブルに対するデータセンター側のサポートも遅れ気味になりました。
そんな当時の状況について、アタラのCTO、加藤大樹氏は、「データセンターで火災が発生し、サービスが停止したのですが、火災の発生をニュースで知りました。状況を問い合わせても返答がなく、お客様への状況説明もできませんでした」と振り返ります。
この出来事をきっかけに、アタラは、別のデータセンターにシステムを移設する検討を開始。2013年初頭からネットなどを使って、さまざまなデータセンターを調査・評価しました。結果として選ばれたのが、さくらインターネットの「さくらの専用サーバ」です。アタラが提供するサービスは、CPUやメモリに対する負荷やディスクの専有率が極端に高く、サーバーの能力をフルに活用する必要があります。その要件に、「さくらの専用サーバ」が合致したことが、選定の大きな理由です。また、アタラのサービスの場合、OSの設定から見直す必要があることも、同社が専用サーバーを選択した理由の1つです。
加藤氏は、「さくらの専用サーバ」の評価ポイントについて、次のように語ります。
「このサーバなら、これまでのサービスレベルを維持しながらコストメリットが得られます。加えて重要なのは、迅速で良質なサポート。メールだけのサポートが多いなか、さくらインターネットは電話でも問い合わせができる点が高評価でした」
もう一つ、シリアルインタフェースでサーバーに接続できる点も、加藤氏が「さくらの専用サーバ」を評価した理由です。
「サーバーが停止したときに、メールや電話で再起動を依頼することなく、シリアルインタフェースで接続して自らがサーバーを再起動できるのは非常に便利です」と、加藤氏は語り、こうも続けます。
「gluの場合、10億レコードを超える大量データの高速処理が必要なため、最低でも64ギガバイトのメモリが必要でしたが、さくらインターネットでは、96ギガバイトまでメモリをサポートしていたので、十分に対応できると判断しました」
アタラでは2013年5月からサーバーの移設作業を始動させました。移設は段階的に行い、当初は、新規ユーザー向けのサービスだけを「さくらの専用サーバ」で提供。既存ユーザーの環境はサービス向上とのセットで、約2年をかけて少しずつ移設していきました。
加藤氏は、今回の移設に関して、以下のように評価しています。
「移設作業は大きな問題もなく実施できました。移設後のスペックも十分で、パフォーマンスもまったく問題ありません。特にハードディスクからSSD(Solid State Drive)に切り替えた効果が大きく、サーバー環境は非常に快適です」
実際、SSDの採用によって、API経由で処理しているデータ収集のパフォーマンスが最大で10倍向上したようです。
「以前は、翌日のお昼までかかっていた夜間バッチが、未明には終わるようになりました。複雑なレポートの作成も、従来は昼過ぎまでかかっていましたが、現在では朝の8時から9時には確実にお客様へ提供できるようになりました」(杉原氏)
また、パフォーマンス向上のためのリカバリ作業が不要になったことや、バックアップ作業が効率化されたことなどによって、運用管理者の作業負荷も大幅に軽減されたようです。
加藤氏は、「データベースのテーブルを改変する作業を短縮できたので、お客様向けのサービス停止時間も短縮できました。以前はメンテナンスに3連休が必要でしたが、現在は土日の2日間で可能です。現在までに大きなトラブルはありません。非常に安心感があります」と、「さくらの専用サーバ」の導入効果の高さを評価します。
さらに、杉原氏は、「さくらの専用サーバ」、そして、さくらインターネットに対する今後の期待について、こう語っています。
「gluでは今後、検索サイトやソーシャルメディアなど、対応媒体を増やしていく計画ですが、対応媒体が増えれば、データも増えるので、十分なパフォーマンスとスペックが必要になります。また、動画広告など、広告データも多様化していますので、BIツールを使ってアドホックな分析を行うためのデータ提供も重要になります。そうしたビジネス課題を解決するプラットフォーム・ソリューションとして、さくらインターネットのサービスやサポートには大いに期待しています」
本記事で紹介している「さくらの専用サーバ」は現在、新規お申し込み受付を終了しており、後継サービスとして「さくらの専用サーバPHY」を2020年7月28日より提供しています。