- WEBサービス&アプリ提供者
株式会社オービックオフィスオートメーション
基幹システムの運用にはIaaSではなく専用サーバが向いている理由
- クラウドサービス(IaaS)
- 専用サーバーサービス
丹青社は、インターネット黎明期から「インターネットミュージアム」を運用し、 自社においてシステム構築からサーバ運用まで行ってきた経験とノウハウがあります。サイト運用にはこれまで、自社内に構築したクラウドシステムを活用してきましたが、専用サーバ上に同様のクラウドシステムを構築し、コストを抑えた運用が行えています。
丹青社では、博物館や美術館の情報を発信するポータルサイト「インターネットミュージアム」(http://www.museum.or.jp/)を運用しています。サイトの歴史は古く、1996年から20年以上です。「美術館や博物館関連で、いつ何のイベントがあったのか、データベースとして残っているサイトはおそらく日本全国でここだけです。いつどんなキーワードで検索されたかなどの分析も可能です」(丹青社高橋氏)。サーバシステムには変遷があり、サイト運用当初は、UNIXサーバで運用していました。また丹青社では、サーバ運用に一般のデータセンターサービスは使っておらず、自社内のサーバ室で管理・運用し、ハードウェアの調達や設置も自社で行っていました。
2010年ころには、LAMP構成にリニューアルを行っています。「このときはJSP+Oracleベースで動作していましたが、ライセンスやカスタマイズ、拡張性などの問題があり、オープンソースを活用したシステムに移行しました。このリニューアル時には、自社内のサーバ室にLinuxサーバを設置し、Xen Serverのクラウドシステムを構築してサイトを稼働させました。CMSも自社でほぼカスタマイズをしております」(高橋氏)。
その後、2015年9月の社屋移転をきっかけにサーバ群を社内のサーバ室から外に出すことになり、最終的にさくらの専用サーバとさくらのクラウドを組み合わせた形で運用しています。
インターネットミュージアムのサーバ運営で特徴的なのは、専用サーバ上にXen Severで仮想環境を構築し、すべてのサーバ機能を仮想環境上で管理している点です。バックアップ向けにはさくらのクラウドを使い、仮想マシンを複製しています。さくらのクラウドも仮想環境ですので、パフォーマンスが要求されないバックアップや開発用途にクラウドサービスの仮想環境を使い、よりパフォーマンスが要求される部分にリソースを独占できる専用サーバ上の仮想環境を使うという方式です。「クラウドサービスを利用するより、専用サーバ上でクラウドを構築したほうが断然コストパフォーマンスが良かったので、この構成を選択しました。バックアップや開発環境は今後増やしていく予定もあったのでクラウドにしたというのもあります」(高橋氏)。自社でクラウドシステムを構築・運用できるスキルがあるが故の選択肢です。ほかにも負荷対策として、リバースプロキシによるキャッシュを用意したり、Page Speed等のApacheのモジュールを組み込んだりといったサーバを使い倒すサービス構築を行っているそうです。
オンプレミスのサーバから専用サーバへの移行の際は、同じXen Server環境を構築し、データストアのインポートのみで完了できたことも利点です。「サーバ移行の際の苦労話としては、結果的に社内回線の問題だったのですが、データ転送に想定以上の時間がかかってしまった点でしょうか。また、現在はグローバルIPアドレスを必要数契約していますが、テストの際はIPアドレスの用意がまだだったため、それぞれのインスタンスを立ち上げては落してという方法でIPアドレスを使いまわすこともしていたりしました。移行後は専用サーバ自体が安定していて、安心感があります」(丹青社 正村氏)。
インターネットミュージアムで人気が高いコンテンツは学芸員募集のページです。実質的に国内需要のポータルとして機能しています。また、毎年「ミュージアムキャラクター アワード」という全国投票があります。「このときはアクセス数がかなり増えますので、インスタンスのメモリ調整が必須です。弊社の運用では、1つのサーバの中で、起動したり停止したり、CPUやメモリの増減を行うことが比較的多い使い方をしていますので、クラウドシステムを手元で管理できたほうが都合が良いです」(高橋氏)。
サーバ移行後はスマホ版サイトの開発にも着手しました。Xen Server上に新しいインスタンスを追加し、別ドメインにてオープンしました。「スマホ版はDrupal8で構築しました」(正村氏)。「サイトデザインも古いので、そろそろ一新したいなというのもあります。Drupal8はフレームワークを一新したということもあり注目しております。サイト自体もDrupalで開発してもいいかなと思っているところです」(高橋氏)。
本記事で紹介している「さくらの専用サーバ」は現在、新規お申し込み受付を終了しており、後継サービスとして「さくらの専用サーバPHY」を2020年7月28日より提供しています。