- 公的機関・その他
国立大学法人 東京大学
東京大学がさくらで「WEB PARK」を刷新。サービス利用者が増えて満足度も向上。
- レンタルサーバーサービス
株式会社LIG(リグ)……と聞いてどんなイメージがありますか?『伝説のウェブデザイナーをさがして…』『結婚のご報告。30年彼女がいなかった僕が、秒速で結婚できた理由』…そんなハイテンションなネタ系記事を発信しつづけるオモシロ軍団……と思う方が多いかもしれません。そう、今回取材を行わせていただくまでインタビューワー自身そう思っておりました。しかしこの記事を読んでいただければLIG社に対するイメージが60度くらい変化するはずです! ということで、本業はWEB制作会社であるLIG社のWeb開発にかける思い、エンジニアに対する考え方、そしてさくらインターネットとのカンケイについて代表取締役の岩上社長、CTO高遠氏にお話をうかがいました。
「元々はWEB技術、デザインのノウハウをアピールし、クライアントを獲得していくためのブランディングです。」
自社メディア「LIGブログ」を開設した目的を岩上社長はそう語ります。
「技術的なノウハウのアウトプットを継続していくことで、徐々に検索流入が増え、PVも伸びていました。しかしある時、さらなる起爆剤としてネタ系記事を投入したところ、PVが一気に跳ね上がりました。当然それは一時的なものなのですが、完全に元に戻るというワケでもなく、底上げ効果がありました。そして、PVはさらに伸びていき、結果的に新規のクライアント開拓につながったりしています。それから現在もネタと真面目系記事をバランスを調整しながら定期的に発信しています。
ネタ系記事のインパクトが強いので、『LIGブログ = おもしろメディア』とイメージされがちなのですが、実際のLIGブログは8割が真面目な技術やデザイン系記事で、2割がエッセンスとしてのネタ記事という割合になっています。日々業務を行っていく中で培ったノウハウをアウトプットする場としてブログを使っています。
日々の業務をこなしつつ、記事という形でアウトプットするためにはその10倍のインプットが必要です。ブログは社員の持ち回り(1人1ヶ月に1記事ペース)なので、1ヶ月の業務を通じて興味をもったこと、新しく覚えたことを発信しています。ちなみに社員は約60名いるのですが、ネタ系記事をつくるのは特定の数名の尖った人たちです。90%の社員は真面目なんですよ(笑)。」(岩上氏)
「LIGでは多数のさくらのサーバーを運用しています。自社用でも数十、クライアントの管理代行も含めるとアカウント数は数百になるのではないでしょうか」
CTOの高遠氏はそう語ります。その大きな要因としてあげられるのは『低価格』と『高機能』。
「安さだけを売りにしているところであれば他にもサービス事業者はありますが、機能面で物足りず、上位プランを選ばないといけなくなったりします。その点、さくらのサーバは低価格であっても機能は十分に備えてますし、ビジネスプロプランになれば独自SSL証明書も利用できるので重用しています。」(高遠氏)
「サーバの選定基準としてはクライアントの予算が大きな要素となることが多いです。それこそ場合によっては月額数百円で……なんて場合もあります。そうすると当然ながら選択範囲も限られたものになってきます。そういった中でも求められる安定性、クライアント要望のWebサイト仕様を実現する機能がサーバーには求められます。さくらのサーバーにはその役目を担ってもらっています。」(岩上氏)
ところで、LIG社では自社でサーバーを持つという選択肢はこれまでにあったのでしょうか?
「いえ、それはなかったですね。クライアント向けに多数のサーバを運用している当社にとって、サーバを管理、運用するコストは相当大きいものになります。サービスを安定して提供することを考えると自社で物理的にサーバーを構えるよりも、安心しておまかせできる事業者さんを利用することにしています。」(岩上氏)
LIG社の制作実績には、名だたるメディア、キャンペーン、コーポレートサイトがズラリと並びます。全てのサイトに「こういうUIにすれば、もっとかっこいい&さらにカワイイ!」というこだわりの提案ポイントがあるとのこと。
昨今のシングルページでのデザインや、CSS3を使ったアニメーション処理など、紙の企画書だけでは伝えきれない表現をクライアントにどのように提案しているのでしょうか。
「んー。ここぞという時にはまず実装しちゃって、それをドドンと確認していただくこともありますね。時にはボツになるケースもありますが(笑)。より良いものを作り上げたいという想いの結果、先に手が動いちゃうこともあります。これは手を動かす = 工数と捉えていてはできませんね。高い付加価値をご提供することを優先して仕事する……LIGはそういう会社でありたいと考えています。」(岩上氏)
では良いサイトとは何か。その感性は個人によってさまざまですが、「LIGらしさ」を社内外に明示することが大切だと岩上社長は言います。
「単にPVを稼ぐサイト、回遊率が高いサイトが良いサイトか?……というと、そうではないと考えています。例えば2ちゃんねるであったり、その2次まとめ系サイトだったり、昨今のキュレーションサイトなどPVという観点では非常に優れています。しかし、それがLIGらしいかというとそうではない。我々が考える、提供できるサイトはこういうものだ!という基準であったり、事例を自社サイトやブログを通じて発信していくことが大事だと考えています。
最近の例だと”roomie“、”映画 魔女の宅急便 公式サイト“、”Tokyo Mild Foundation“といった実績を通して、LIGらしさを表現しています。」(岩上氏)
LIG社には、ディレクター、デザイナー、エンジニア……とそれぞれの職種に、エッジの利いた猛者が集っているイメージがありますが、どのようにチームワークを組んでいるのでしょうか。
「最近は職種間の垣根はどんどん低くなってきています。そのような中で良いものを作るには『相互理解』がキーになります。そのため、当社ではプログラマーでもデザインのことがわかる、デザイナーもPHPを学ぶ、あるいはUIやマーケティングの考え方を理解する……といった具合に自分の専門領域外についても学べるようにしています。」(岩上氏)
「プログラマーが実際にデザインできるようになる必要はないのかも知れないけれど、お互いの仕事に興味をもち、それを理解することはとても大事です。その上で意見を出し合うことで、より良いものができあがっていくと考えています。
また、新しいコトにチャレンジする精神も大事にしています。現在、社内のメインプログラミング言語はPHPですが、一部でnode.jsを導入してます。技術についても、サーバーについても、新しいものはまず社内で試し、良いと判断したものをクライアントワークに活かしています。」(高遠氏)
「この業界の技術やトレンドは日々変化しています。その中で大事になるのは変化に柔軟に、そして素早く対応できる人です。特定の技術や手法に固執してしまっては開発者としての伸びしろがなくなってしまいます。そうならないためにも社内で勉強会を開催したり、ブログでアウトプットしたりするための時間は、きちんと確保できるようにしています。」(岩上氏)
「最近は『Docker』をテーマにした社内勉強会を開催して、そこにエンジニアだけでなく、デザイナーやメディア担当者も参加していますね。このあいだ実施して面白かったのは『コピーライティング勉強会』。私も参加しました。物事を端的に、かつ明快に説明するためにはコピーライティング能力はとても重要で、プログラマーにも活かせるスキルだと思いました。」(高遠氏)
一見すると個人の仕事には関係なさそうに思えるテーマであっても、職種の垣根を超えてどんどん参加してナレッジを培っているそうです。
「職種の垣根を超える、そして新しいコトにチャレンジする社風は大切にしているので、本人のやる気があれば、社内ジョブチェンジも奨励しています。最近は2代目広報担当の「ひろゆき」がエンジニアを目指したいと志願してきたのでOKしました。当社では3カ月単位で成果や適性を評価するようにしていて、チャレンジしたけど万が一イマイチだったら、元の職種に戻れるようにしています。今のところ戻っちゃった人はまだでていません。」(岩上氏)
「現在、LIG社ではサーバーサイドエンジニアを絶賛募集中です。サーバーのみならず、フロントエンドからデザイン、マーケティングまで幅広く学べるLIG社にチャレンジしてみたいという方は[採用情報]をチェックしてください!」(高遠氏)
編集後記
いかがでしたか。LIG社のWeb制作に対するまっすぐな思いが伝わってきたでしょうか。
ちなみに、インタビューの際に「さくらのクラウド クーポンチケット」をお渡ししたところ、さっそく社内のエンジニアたちによる争奪戦が勃発。現在テスト試用をしていただいているところだそうです。