導入事例

専用サーバが実現する「勘定奉行と他パッケージとの柔軟な連携」

株式会社オービックオフィスオートメーション 様

「勘定奉行」といえば、誰もが知る財務会計パッケージのベストセラー製品。この勘定奉行をさくらの専用サーバにのせ、顧客に提供しているオービックオフィスオートメーション社に、専用サーバをSI商品のインフラとして採用する意義やメリットなどについて伺いました。

課題
他社会計システムとの差別化
複数アプリケーションの稼働
効果
専用サーバにセットアップし付加価値をつけて提供
システム連携の柔軟性により、複数アプリケーションの稼働に対応

勘定奉行のインフラとしてさくらの専用サーバを選ぶ企業が増えている

齊藤 功 氏

株式会社オービックオフィスオートメーション(以下、オービックOA社)は、主に中堅・中小規模の顧客企業に対して、パッケージソフトウェアの販売・サポートからオフィス機器の販売・保守、果てはオフィス移転や工事の手配に至るまで、あらゆる業務分野に渡って支援を提供するトータルソリューションベンダーです。特に、同じオービックグループに属する株式会社オービックビジネスコンサルタント(OBC社)が開発・提供する業務パッケージソフトウェア「奉行シリーズ」の販売およびサポートに関しては、高い実績をお持ちです。

ちなみにオービックOA社では2010年より、奉行シリーズの中でも特に財務会計の機能を担う主力製品「勘定奉行」のクラウドサービスとしての提供を、さらに2012年からは「さくらの専用サーバ」に勘定奉行を導入して顧客に提供するサービスを始めています。このあたりの経緯については、『基幹システムの運用にはIaaSではなく専用サーバが向いている理由』で詳しく紹介しているので、ぜひご参照ください。

同社 オフィスシステム営業部 次長 齊藤功氏によると、さくらの専用サーバと勘定奉行を組み合わせたこのサービスには、常に高いニーズがあるといいます。

「お客さまからの引き合いは強く、これまで月1~2件のペースでコンスタントにユーザーが増え続けています。勘定奉行の開発元であるOBC社のクラウドサービスを検討しているうちに弊社のこのサービスのことを知り、お問い合わせいただくケースも多いです。」「また、2015年9月末でプログラムメンテナンス終了を予定している奉行 21Ver5シリーズでは消費税10%対応ができなくなります。奉行 21Ver5サポート終了の際はサーバリプレースの需要が発生し、益々、さくらの専用サーバの問合せが増えるでしょう。」

オービックOA社では、この専用サーバサービスとは別途、パブリッククラウドのIaaS環境上に勘定奉行を導入するサービスも提供しています。「クラウド」や「SaaS」といったキーワードが大きくもてはやされる昨今、こうしたサービスの方がユーザーに受け入れられているのかと思いきや、顧客のニーズをよくよく聞いてみると、クラウドより専用サーバの方が適しているケースが非常に多いと齊藤氏は言います。

「多くのお客さまは当初、『サーバを社内で持ちたくないからクラウドを使いたい』という要望を持たれています。ただし、クラウドの強みである迅速な環境構築や、柔軟なスケーラビリティといったメリットは必要としていないことがほとんどです。むしろ多くのクラウドサービスでは、VPN接続が困難だったり、アプリケーションによっては仮想サーバ上での動作が保証されていなかったりと、制約が多い。その点、さくらの専用サーバが提供するのは仮想サーバ環境ではなく物理サーバ環境で、かつVPN機器のレンタルサービスも提供しているので、単に『サーバを外に出したい』というニーズを満たすには最も適しています。」

アプリケーション間の自動連携には、クラウドより専用サーバが有利

荻野 秀策 氏

これに加え、同社 オフィスシステム営業部 営業3課 課長 荻野秀策氏は、専用サーバサービスの最大の魅力として「システム連携の柔軟性」を挙げています。

「最近では、単に勘定奉行だけを使いたいという要望は少なく、販売系のシステムやBIツール、貿易システムといった周辺システムと連携させて利用したいというニーズが多いです。クラウドではこうした連携ソリューションをカバーするのは難しいことが多いですが、さくらの専用サーバであれば基本的にオンプレミスの物理サーバ環境と同等なので、複数のアプリケーションを載せたり、互いに連携させたりすることも容易に実現可能です。」

OBC社が提供するクラウドサービスをはじめ、奉行シリーズをクラウドサービスとして提供する場合は通常、導入するアプリケーションの数や種類、さらにはユーザー数に応じて利用料金が決まります。例えば、勘定奉行だけをユーザー3人で使う場合には安価でも、これに併せて販売管理や人事・給与のアプリケーションも導入し、何十人ものユーザーで利用するとなると、一気に利用料金が跳ね上がってしまいます。

その点、オービックOA社がさくらの専用サーバを使って提供するサービスでは、ユーザーは各アプリケーションのライセンスを購入した後、さくらインターネットと直接契約を結んで専用サーバの利用料金を支払います。つまり、サーバの上にどれだけアプリケーションをのせようと、あるいはどれだけの数のユーザーでそれを使おうと、インフラの利用料金は変わらないのです。

こうしたメリットに着目し、さくらの専用サーバ上で勘定奉行と他のアプリケーションを連携させて利用するユーザーが増えてきているそうです。例えばとある企業では、勘定奉行と、在庫管理システム「蔵奉行」、販売管理システム「商奉行」、さらには輸出入・貿易業務支援パッケージのベストセラー製品「TOSS」をさくらの専用サーバ上に導入し、互いに連携させているとのこと。具体的には、海外から製品を輸入する際、まずはTOSSで外貨に対応した購買処理を行い、そこから在庫管理データを蔵奉行に、そして会計データを勘定奉行に自動的に流しています。さらに、輸入した製品を国内で販売する際には、商奉行で販売管理を行っています。

また、とある大手商社では、TOSSのすべてのモジュールと勘定奉行をさくらの専用サーバ上で連携させています。この場合は輸入だけでなく輸出も含め、すべての貿易業務をTOSSが担い、そしてバックエンドに控える勘定奉行と仕訳データを自動的にやり取りしています。

TOSSの開発元である株式会社バイナルで営業部長を務める山口達也氏は、「こうした形態での連携ソリューションの提供は、今後も増え続けていくだろう」と語ります。

山口 達也 氏(株式会社バイナル)

「大手企業はもちろん、近年では中堅・中小企業でも複数の業務アプリケーション間を自動連携して利用するのが当たり前になってきています。ただしクラウドは多くの場合、複数のアプリケーションを稼働させる条件に制限があるため、やむなくクラウドとオンプレミスの間のデータのやり取りを、ローカルPCを介して行わざるを得ないケースも多いのです。その点、専用サーバならそうした制限は発生しません。事実、勘定奉行とTOSSの連携システムを実装した際にも、さくらの専用サーバはオンプレミスの物理サーバ環境と使い勝手がまったく変わらないので、極めてスムーズに導入できました」

さくらの専用サーバの「高い拡張性」と「ミニマムな付加価値」がSI基盤として最適

左から、山口 氏、荻野 氏、齊藤 氏、臼井 宏典(さくらインターネット 営業部 副部長)

ちなみに、オービックOA社ではさくらの専用サーバを使ったサービスを顧客に提供する際、運用サービスも併せて提案しているそうです。そしてほぼ100%の顧客が、この運用サービスを導入しているとのことです。

「オンプレミスでシステムを納入する際には、『運用は自社でやるから運用サービスは要らない』というお客さまもいらっしゃりますが、専用サーバの場合はそもそも『サーバの運用を自社でやりたくない』という動機で選ぶお客さまが多いので、ほぼすべてのケースで運用サービスを利用いただいています。この場合、日々の運用だけでなく、プログラムのバージョンアップもサービスとして弊社で実施します。」(荻野氏)

こうした運用サービスを提供するにあたっては、齊藤氏は「さくらインターネットが最低限のサービスしか提供しない」ことが逆にありがたいのだといいます。これは一体どういうことでしょうか?

「われわれのようなソリューションベンダーから見れば、データセンター業者やクラウド事業者は、とにかく『システムの箱』さえ提供してくれればいいのです。事業者の方で箱を大量に安く購入して、われわれに安価で提供してくれれば、後はわれわれの方でシステムを構築して、サービスを付け加えた後も、ユーザーにはリーズナブルな価格でご提供できます。われわれがサービスに付加価値を与えるためには、インフラ事業者側はさくらインターネットのように『余計なことを何もしない』方がありがたいのです。」(齊藤氏)

こうしたさくらの専用サーバの特徴をフルに生かしながら、今後も勘定奉行のビジネスを拡大させていきたいと同氏は意気込みます。既に前述のTOSSや、勘定奉行用の会計データ活用ソリューション「経営目付役」などと連携させたソリューションを専用サーバで提供しているほか、今後はユーザーニーズの多いワークフローシステムとの連携ソリューションなども積極的に展開していく予定だそうです。

「ワークフローシステムは、現場の従業員が直接アクセスするため、自ずとユーザー数が多くなります。そのため、ユーザーの数で利用料金が決まるクラウドサービスではコスト的に割高になりますが、専用サーバなら何人で使っても利用料金は変わらないため安価にご提供できます。またさくらの専用サーバは、デフォルトでもメモリ容量やディスク容量のスペックが極めて高く拡張性に優れており、この点においても連携ソリューションの基盤に極めて適しています。こうした特徴を生かしながら、今後も勘定奉行を中心とした幅広い連携ソリューションを広く展開していきたい。」(齊藤氏)

本記事で紹介している「さくらの専用サーバ」は現在、新規お申し込み受付を終了しており、後継サービスとして「さくらの専用サーバPHY」を2020年7月28日より提供しています。

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株式会社オービックオフィスオートメーション
事業内容
ソフトウェア・ハードウェアの販売・サポート、ソフトウェアの開発、ハードウェアのメンテナンス、OA関連消耗品の販売、各種印刷物の加工受託、オフィス家具の販売ほか上記に附帯する一切の事業、損害保険代理業
設立

導入サービス

さくらの専用サーバ
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また、月額料金が固定費のためランニングコストを抑えることができるのもメリットです。

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