導入事例

2000ページ規模のマニュアルも爆速で“使える資産”に。「さくらのAI Engine」と「高火力 VRT」で実現するクリューグルのAI活用プラットフォーム 

クリューグル株式会社/日本システム開発株式会社 様

導入サービス

企業には、長年蓄積されたソースコード、仕様書、社内文書、さらにはベテラン社員が持つノウハウなど、十分に活用しきれていない情報資産が数多く存在します。こうした情報をAIで活用できるナレッジとして整理する「Krugle Biblio」と、AIエージェントが業務を支援する「Krugle Squad」を提供するのがクリューグル株式会社。同社では、これらの製品を提供するための基盤として「さくらのAI Engine」と「高火力 VRT」を活用しています。販売パートナーである日本システム開発株式会社(NSK)とともに、合計2000ページを超える資料を用いた検証も実施しました。「さくらのAI Engine」と「高火力 VRT」を採用した背景や導入効果、製造業をはじめとする日本市場での今後の展開について、クリューグル 取締役の山口智之氏と、日本システム開発 執行役員の坂上真市氏に聞きました。 

課題
機密性の高いソースコードや社内文書を扱うため、セキュリティーやプライバシーに配慮しながらLLMを利用できる環境が必要だった
大規模なLLMを自社環境で利用するには高性能なGPUが必要となり、PoCの段階から大きな設備投資が必要
利用するモデルの選択や従量課金によるコストを考慮しながら、Krugleシリーズに必要な性能を確保する必要があった
効果
国内データセンターで完結する「さくらのAI Engine」を採用し、機密性の高い情報を扱うKrugleシリーズを顧客へ提案しやすい環境を構築
「高火力 VRT」と組み合わせることで、高性能なGPUを自前で用意することなく、PoCや技術検証を始められる環境を実現
必要なLLMを選択できる環境を確保し、合計2000ページを超える技術資料を用いた検証でも、大量のドキュメントを扱えることを確認できた

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企業に眠る情報を「使える知識」に。Krugle BiblioとKrugle Squadが担う役割 

2023年7月に設立されたクリューグルは、企業が保有するソフトウェア資産やナレッジ資産をAIで活用するための「Krugleプラットフォーム」を提供しています。中心となるのが、AIナレッジプラットフォーム「Krugle Biblio」と、AIエージェントプラットフォーム「Krugle Squad」です。 

「Krugle Biblio」は、企業内に散在する文書やソースコードなどを取り込み、AIが理解しやすい形に処理しナレッジとして管理できるプロダクト。一方「Krugle Squad」では、スキルを持たせたAIエージェントが、チャットによる依頼やあらかじめ設定したワークフローに沿って業務を実行できます。両者を連携させることで、Krugle Biblioに蓄積された情報を、Krugle SquadのAIエージェントがより有効に活用できるようになります。 

「Krugle Biblioは、AIが理解できる情報を集めた図書館のようなものです。そこに司書のようなAIエージェントがいて、質問すると、必要な情報を本棚から探して答えてくれる。一方のKrugle Squadは、質問に答えるだけではなく、仕事を依頼するとAIエージェントが自ら考え、実行してくれるプロダクトです」(山口氏) 

クリューグルと資本業務提携し、販売パートナーを務めるのが日本システム開発です。同社はソフトウェアの受託開発などを手掛け、とくに組込みソフトウェアをはじめとする製造業領域に強みを持っています。 

両社の協業が本格化するきっかけの一つになったのが製造業の領域でした。約2年前に日本システム開発がテック系の展示会へクリューグルを参考出展したところ、一定のニーズが確認できたことから、その翌年に資本業務提携を結び、販売代理店としての展開を開始しました。 

そして、日本システム開発が製造業でKrugleシリーズの可能性を感じた背景には、知見やノウハウの属人化という課題がありました。 

「製造業には、ベテラン社員しか持っていない知見やノウハウが数多くあります。その人がいなくなれば、知識も一緒に失われてしまう。そうした知識の『引き継ぎ先』としてAIを活用することが重要だと考えました」(坂上氏) 

機密情報を扱うAI基盤に求めた、セキュリティーとコストの両立 

クリューグル株式会社
取締役
山口 智之 氏

Krugleシリーズが扱うのは、企業のソースコードや設計書、内部文書といった機密性の高い情報です。そのためクリューグルでは、こうしたデータをできるだけ外部に出さず、プライベートな環境でAIを利用できることを重視してきました。 

一方で、AIの性能を追求すればするほど、必要なコンピューティングリソースは大きくなっていきます。Krugle BiblioやKrugle Squadでは、メインの処理を担うLLMとして350Bパラメーター以上のマルチモーダルモデルを推奨しており、これを自社で動かそうとすれば、大規模なGPU環境を用意しなければなりません。 

そこで選択肢となるのが、外部のLLMサービスです。ただし、「どのモデルを使うのか」「従量課金でコストがどこまで膨らむのか」「機密情報を安心して扱えるのか」といった検討事項が生じます。クリューグルではOpenAIやAnthropic、AWS Bedrockなども含めて比較検討し、Krugleシリーズを支える選択肢として「さくらのAI Engine」を採用しました。 

決め手となったのは、国内データセンターで完結することへの信頼感に加え、実用的なモデルの選択肢と価格面だったといいます。 

「Krugleシリーズでは、お客様のソースコードやドキュメントを扱うため、どこでデータを処理するのかは非常に重要です。国内の環境で完結するというだけでも、お客様にとって大きな安心材料になります。そこにモデルの選択肢や価格面も含めて考えると、さくらのAI EngineはKrugleシリーズと非常に組み合わせやすいサービスだと感じました」(山口氏) 

さくらのAI Engineと高火力 VRTを組み合わせ、PoCのハードルを下げる 

現在Krugleシリーズでは、ソフトウェアの稼働環境に VM型GPUクラウドサービス「高火力 VRT」、バックエンドのLLMに「さくらのAI Engine」を利用しています。この構成のメリットの一つが、高性能なGPUを自前で用意することなく、Krugleシリーズの検証を始められることです。そのためクリューグルでは、顧客が本格導入前にPoCをおこなう際の環境としても提案しています。 

「『まずは使ってみたい』『本当に自社のデータでできるのか確かめたい』というPoCの段階で、何百万円、場合によっては1000万円をかけてハードウェアを用意するのは現実的ではありません。まずさくらインターネットの環境で試して、実際に運用できそうならそのまま本番に進む。本番に移る段階であらためて構成を検討することもできます」(山口氏) 

実際、日本システム開発では、この環境を使った大規模な検証もおこなっています。 

検証でKrugle Biblioに読み込ませたのは、1977ページのユーザーズマニュアル、回路図、ハードウェアマニュアル、英文のデータシートの4種類。合計すると2000ページを超えます。Krugle Biblioでこれらの資料を解析し、設計書の形にまとめるところまで試しました。 

「これだけのボリュームを扱えること自体、一つの立証になったと考えます。Krugle Biblioを評価するのであれば、ある程度の量のドキュメントをまたいで扱えなければ意味がありません。今回のデモを見て、可能性を感じていただけた企業も多く、検証環境として高火力 VRTとさくらのAI Engineを使った意味は大いにあったと感じています」(坂上氏) 

ただし、AIを導入すれば人による確認が不要になるわけではありません。坂上氏が期待するのは、AIに判断そのものを任せることではなく、人が評価できる状態まで情報を整理する時間を短縮すること。従来、人が大量の資料を処理するのに1〜2週間かかっていたとすれば、その部分をAIが短時間で担うことで、評価までのリードタイムを大幅に短縮できます。 

「AIも間違う以上、最終的な評価は人がおこなう必要があります。ただ、評価するための材料を準備するところまでをAIで短時間に進められれば、1回の評価にかかる期間は大幅に短縮できます。評価の回数自体は変わらなくても、全体として必要な期間やコストはかなり抑えられるのではないでしょうか」(坂上氏) 

製品を売るだけではなく、AIエージェントを「メンバー」に 

日本システム開発株式会社
執行役員
坂上 真市 氏

日本システム開発では今後も、製造業や組込みソフトウェア開発を中心にKrugleシリーズを展開していく考えです。ただし、単に製品を販売することだけを目指しているわけではありません。Krugleシリーズを新たな顧客との接点とし、自社が培ってきたソフトウェア開発やエンジニアリングのノウハウと組み合わせることで、これまでとは異なる提案につなげようとしています。 

「単純な販売代理店であれば、製品を売って終わりだと思います。ただ、私たちはその先の開発にも入っていける強みがあります。Krugleシリーズによって、これまで接点を持ちにくかった企業とも話ができるようになりましたし、従来とは違う側面から提案できるようになりましたね」(坂上氏) 

クリューグルも、エンドユーザーへ一社ずつ製品を販売するだけではなく、SIerなどのパートナーが提供するサービスにKrugleシリーズを組み込んでもらう事業展開を構想しています。単純にリセラーを増やすのではなく、パートナーと事業そのものを一緒につくっていこうとする考えです。 

そして、その先に山口氏が描いているのが、AIエージェントを企業のシステム運用や保守に活用する姿です。 

「これまではエンジニアがお客様先に常駐してシステムを保守する形がありましたが、現在は人が採用しにくくなり、スキルを維持することも難しくなってきています。そこで考えているのが『AIエージェントを常駐させる』というもの。Krugle Squadをお客様のところのメンバーのように置き、私たちがリモートから支援する。長期的には、そうしたシステムサポートや運用・保守のサービスをつくっていければと考えています」(山口氏) 

さらに、こうしたサービスを展開するうえでは、日本システム開発などのパートナー、製品を提供するクリューグル、そしてインフラを担うさくらインターネットが連携できる余地が十分あると山口氏は期待します。 

また、また、直近で新サービス「さくらのAI Engine プライベートエディション」の提供も開始されました。フルマネージドの専有型AIモデルサービングサービスで、定額制でコストコントロールしながら、セキュアな環境で好きなモデルを使えます。より安心・安全にAIを活用することが可能になりました。 

企業のなかに眠っている情報を、AIが扱える知識へ。その知識をAIエージェントが活用し、実際の業務を支える――。クリューグルと日本システム開発は、さくらインターネットのサービスを基盤の一つとして活用しながら、Krugleシリーズの日本市場での展開を進めていきます。 

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クリューグル株式会社/日本システム開発株式会社
事業内容
クリューグル株式会社:”Krugle Biblio(AI活用ナレッジPF)” と ”Krugle Squad(AIエージェントPF)” からなる ”Krugleプラットフォーム” の、米国Archaea Inc.との共同開発、日本における独占販売、およびアジアにおける販売/日本システム開発株式会社:ソフトウェア受託開発・販売、組込み、電子回路設計
設立
クリューグル株式会社:2023年7月/日本システム開発株式会社:1985年8月

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