登録ユーザー数300万人以上のeラーニングシステムを支えるさくらのクラウド
- WEBサービス&アプリ提供者
チエルコミュニケーションブリッジ株式会社
- クラウドサービス(IaaS)



PaaS型CMS「Palette CMS」と広告配信プラットフォーム「AFFILICODE」を主軸に、ECや企業間取引システムなど幅広い事業を手掛ける株式会社リーフワークス。2010年の創業以来、顧客のニーズを最小構成で実現する技術力を強みとしています。 今回は、同社の創業者である澤健太氏から、自宅や社内でのオンプレミス環境から始まり、さくらのVPSとさくらのクラウドを導入するにいたった経緯や、現在の活用方法、そして今後の展望まで、くわしくお話を聞きました。
当社の設立は2010年ですが、私はそれ以前……中学生のころからプログラミングが好きで、自宅にサーバーを構築したり、ゲームを自作したりしていました。
リーフワークスを立ち上げたときの最初の事業も、ソフトウェアのパッケージ販売です。不動産検索システムやASP(アフィリエイトサービスプロバイダー)の構築システムなど、20~30種類ほどのパッケージを提供していました。業務システムのソフトウェア群のなかには、現在のPaaS型CMS「PaletteCMS」の原型になったものもあります。
当初は、パッケージでライセンスを販売して、ソフトウェアそのものは、私の自宅に置いた固定IPのオンプレミスサーバーからダウンロードしていただいていました。これは大容量のソフトウェアを確実に届けるための方法で、事業の成長とともに「自宅オンプレ」の限界が見えてきました。
まず、エアコンでの空調管理が必須なので、その光熱費が大きく、ハードウェアの保守も大変でした。データやシステムを守るには冗長化する必要がありますが、冗長に、安全にするほどストレージ数は増えます。サービス拡大にともなってそれらを管理する工数が増えていき、とうとう「自宅や自社での管理はとても無理だ」という段階になりました。それで、安定性の面でも、拡張性の面でも、ホスティングサービスの利用やクラウドサービスへの移行が必要になっていきました。
そこで、まず自社で運用していたサーバーを、さくらインターネットの専用サーバーへ移行しました。その後、事業の拡大にともなって、より柔軟なリソース管理と拡張性が必要となったため、さくらのVPSを導入。さらに、広告配信ニーズの大規模化にともなって、さくらのクラウドを導入しました。
現在当社は、「さくらのVPS」と「さくらのクラウド」を組み合わせて利用しています。
まず、さくらのVPSは、お客さま1社につき1台のサーバーを立てる「シングルテナント」方式を取っています。データの格納環境やネットワーク接続が他社と分離されている状態は、エンタープライズ用途において安心感が大きく、導入にあたっての理解が得られやすい、というメリットがあります。さくらのVPSならではのコストパフォーマンスの良さを活かして、スモールスタートに適したプランを用意し、かなり安い費用でご利用いただいています。
その後、お客さまの事業拡大に合わせて、VPSのプランをスケールアップしていきます。VPS利用の最上位プラン(32GBプラン)も超えた方に対しては、さくらのクラウドを使い、お客さまの業務にあわせたオーダーメイドのインフラ構築をご案内しています。

また、広告配信システム「AFFILICODE」では、ある事業者さまから「1日10億PVを超える大規模なトラフィックを処理したい」というお問い合わせがありました。とてもVPSでは対応できない規模なので、はじめからクラウド環境を利用しました。広告配信は、お客さまがさらに他社と契約を結んで実施するもので、数秒の停止も許されません。また、突発的なトラフィックの急増にも対応できる必要があります。
私たちの用途で見ると、さくらのクラウドは「高い安定性を持つこと」と「トラフィックへの課金がないこと」が大きな魅力でした。変動するトラフィック量に左右されずにコストを予測・管理できるようになり、顧客への安定したサービス提供が可能になりました。
また、「ガバメントクラウドの認定を受けた国産クラウドであること」も大きな要素です。
当社の強みは、創業者である私を含め、自社の人材がサーバー構成の設計および構築ができる点にあります。内製・自前の技術を活かし、サービスの品質を維持・向上するには、国内のベンダーをしっかりと使っていきたいのです。
日本で構築し、国内の事業者に向けて提供するサービスであれば、地政学的なリスクや為替リスクは極力抑えたい。そのため、できれば国内で完結できる環境を整えたいと考えています。その点、さくらインターネットのガバメントクラウド認定獲得は大きな決め手でした。
まず、さくらのVPSについては、世界的に見てもトップレベルのコストパフォーマンスなのではないでしょうか。当社のようなスモールスタートの支援はもちろん、これから自社サービスを始めるスタートアップや、エンジニアを目指す学生、個人開発者にとって、非常に心強い存在だと思います。
また、さくらのクラウドのパフォーマンスも期待以上です。導入検討の際にベンチマークを取ってみたところ、「良い意味で期待を裏切られた」と感じました。過剰調達したかと勘違いしたくらいです。
現在、大規模広告配信システムでは、DNSラウンドロビンやロードバランサーを組み合わせた複数台構成を構築し、1日20億インプレッション以上のトラフィックを処理しています。データベースのレプリケーションや書き込み専用サーバーの導入など、用途を明確に分離したシステムを設計し、高負荷時の安定した広告配信を可能にしています。これにより、年間で数百億円規模の広告費が動くようなシステムでも、安定稼働をお約束できるようになりました。
現在、Palette CMSはサブスクリプションプランのみとしています。これは、世界的なクラウドネイティブ化への対応はもちろん、次世代のデータプラットフォームとして展開させるのを見込んだうえでの運用です。
今後は、Palette CMSの設計思想の根幹にあるフレームワークを発展させたいと思っています。「Webサイトを構築するツール」だけでなく、「IoTやビッグデータのハブ」として機能するPaaSにしていく。CMS機能はそれらを表現する1つの手段であり、APIやMCPを用いたAI連携などに取り組む方針で進めています。
こういった新しい取り組みへのチャレンジにおいても、今後も既存サービスの拡大においても、さくらのクラウドやさくらのVPSをうまく使っていきたいと考えています。
※掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。
