コスト増の海外クラウドサーバーからの移行でパフォーマンスは変わらず32%コストダウン!
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全国の自治体で導入が進む、公共施設予約システム「OpenReaf(オープンリーフ)」。シンプルな操作性に加え、オープンソースを活用した行政向けの本格業務パッケージとして注目を集め、直近では東京都中央区にも導入されました。OpenReafでは、インフラ基盤にさくらのクラウドを活用しています。今回は同サービスを提供する、株式会社ジーウェーブから、代表取締役社長の吉田善幸氏(写真中央)、中央区担当の井川恵氏、企画営業担当の菅菜都美(写真左)と橋本晟也氏(写真右)にインタビューを実施。さくらのクラウドの導入背景から、導入後の効果、行政向けシステムとの親和性、今後の展望などを聞きました。
2003年設立のジーウェーブは、オープンソース系のシステム開発・運用業務を中心に、Web制作・運用、大学との共同研究・開発、各省庁との助成事業などをおこなっています。核となるクラウドサービスは、自社開発した公共施設予約システム 「OpenReaf」。オープンソース系システムとして、東京都中央区など全国複数の自治体で導入されています。
行政向けシステムについては、ほかにも、マイナンバー交付予約・進捗状況管理システム「cesami(セサミ)」、イベント受付システム「OREAB(オリーブ)」、集団検診予約システムなども開発・販売しています。開発したクラウドサービスは、研究開発・運用サポート・販売までワンストップで提供しています。
また、OpenReafは無償版だけでなく、自治体からニーズの高い抽選・統計機能などすべての機能が使用できるライセンス版の2パターンを用意。導入・運用サポートをはじめ、各自治体に寄り添ったシステムおよび機能開発に努めています。
2024年10月にOpenReafを導入した、東京都中央区 情報システム課開発支援係 担当者は、導入理由と効果について以下のように振り返ります。
「従来の予約システムは『構築型』のサービスで、かつ使用期間が長かったため、抽選・予約の制御が複雑化していました。そのため、人件費や経費面でのコスト低減を目的に乗り換えることに決めました。自治体導入実績のあるサービスを比較検討していくなかで、プロポーザル提案に基づきOpenReafを選定しました。OpenReaf導入後は、キャッシュレス決済への対応を含め、施設利用のワンストップ化を実現。稼働状況も安定しており大変満足しています。とくに、オープンソースで開発されたため、新機能の開発・検証、実装に関して機動性が発揮しやすい点を気に入っていますね」(中央区担当者)
同社ではOpenReafをはじめとした自社サービスのプラットフォームについて、約10年前からさくらのクラウドを使用しています。当時は「他社のインフラ基盤を活用していた」と吉田氏は、導入前の課題について振り返ります。
「10年ほど前は、自治体向けのクラウドサービスのインフラ基盤には国産ベンダーを活用する流れがあったので、他社の国産サービスを使っていました。ただ、そのインフラが非常に不安定で、何の前触れもなくサーバーダウンすることが多々あり困っていました。企業向けももちろんそうだと思うのですが、行政機関は土日も稼働していますし、システムが使えなくなると死活問題です。なんとかこの状況を変えたいと思い、インフラ基盤の移行を考えました」(吉田氏)
「サーバー障害が多かった」という従来のインフラ環境の状況を改善しようと、国内ベンダーの比較検討を実施した同社。社内メンバーでさまざまな会社のサービス内容・価格を調査したところ、さくらのクラウドの「料金が安価で稼働が安定している」点を評価し、移行を決意したといいます。
「安価で明確な料金プランだったので、月ごとのコスト予測が立てやすいところにメリットを感じました。また、安定稼働については当時から世間からの評価が高かったので、その点は期待して導入を決めましたね」(吉田氏)
実際に、さくらのクラウドを導入して稼働状況はどう変わったのでしょうか。吉田氏は笑顔で以下のように話してくれました。
「さくらのクラウドに移行してから、現在まで10年ほど活用していますがサーバーダウンしたことはほぼありません。安定稼働しているので、非常に満足しています。また、サポート体制も充実していると感じます。テキストベースで問い合わせを送っても1日またずに返事がきますし、Web上にあるドキュメントマニュアルは日本語でわかりやすく記載してあります。運用面でもあまり困ることはなかったですね」(吉田氏)
サポート体制については、今回の東京都中央区にOpenReafを導入する際、「非常に助かった」と同案件の担当者である井川氏は話します。
「今回の東京都中央区へのOpenReaf導入工事では、データセンターと庁内ネットワークとの間に専用線が必須でした。ただ、専用線を引くためのコントロールパネルの設定を間違ってしまい、不具合が仮稼働1週間前に判明したんです。そこで、さくらインターネットに相談したところ、電話などでていねいにやり方を教えてもらいました。迅速に対応してもらえたことで、1週間以内に問題は解決、予定通り納期に間に合いました。さくらインターネットのエンジニアからのサポートには非常に感謝しています」(井川氏)
ほかに吉田氏と井川氏は、さくらのクラウドのなかで気に入っている機能に、仮想サーバーのディスクから定期的にアーカイブを自動作成する「自動バックアップ」と「リモートアクセス(VPN)」を挙げます。とくに、セキュリティを強化するVPN接続が必要な自治体への導入に対して、「さくらのクラウドの機能を使うことで、費用をかなり安く抑えられました」と吉田氏は話します。
同社では、OpenReafはもちろん、提供するすべてのクラウドサービスにおいて、導入先の声をつねに大事にしています。今後も、自治体からのニーズに対し、「機能拡張・アップデートを繰り返すことで、老若男女すべての住民の方が使いやすいサービスを目指していきたい」と企画営業担当の菅氏と橋本氏は力を込めました。
最後に、さくらのクラウドの活用を検討している企業に対して、吉田氏は以下のようにコメントしました。
「さくらインターネットは、ガバメントクラウドに日本勢として唯一登録されている(※条件付き認定)ベンダーですし、実績は申し分ないと思います。また、自治体向けであればセキュリティ面も重要視されるのですが、さくらのクラウドであればISMAPの取得はもちろん、2018年の北海道地震発生時の対応※が証明していますが、災害時の耐性・対応もすばらしい。さくらのクラウドを実際使ってみると、想定していた以上に操作性がよいのもわかると思いますので、一度使ってみることをおすすめします」(吉田氏)
※2018年に発生した北海道胆振東部で道内全域が約60時間ブラックアウトした際に、復電するまでの2日半の間、石狩データセンターを停止させることなく運用し続けた(参考記事)