導入事例

エッジキャッシュCDNサービスの管理・運用コストを約4分の1に削減!データセンターで課題だった属人化も「さくらのクラウド」で解決

合同会社レッドボックス(RedBox LLC) 様

動画配信や画像が多いWebサイトの高速化やレスポンス向上はもちろん、近年ではセキュリティ強化の観点からも注目が集まるCDN。そうしたなか、CDNサービスで国内初となる定額料金を実現したのが合同会社レッドボックスです。必要な機能のみを追加するオーダーメイド型を採用し、低単価かつ高品質なサービスを実現しました。同社ではセキュリティ対策用のオリジンなどの構築に関して、データセンターから「さくらのクラウド」へ移行しています。CEOの小川勝久氏に、さくらのクラウド導入前の課題と導入効果、そして今後の展望までくわしく聞きました。

課題
冗長化のための機器の手配・入れ替え、メンテナンス費、ライセンス費などのコスト負担
データセンターで作業する従業員のリソースや人件費
サービス提供に必要な増強にかかる時間と手間
効果
クラウドへ移行したことで管理コストは約4分の1に削減
データセンターへ行く頻度が減り、そのリソースを新人教育に充てられた
大規模ユーザーの顧客でも迅速なサービス提供を実現

データセンター活用に対してコスト・スピード面で課題

レッドボックスは国内・海外向けに、CDNサービスの提供、CDNやキャッシュに関わる開発支援事業などを展開しています。国内外で遅延の恐れがある動画配信、画像の多いWebサイトなどの表示を高速化し、レスポンス向上を実現する仕組みであるCDNのサービスにおいて、同社では国内初となる月額定額料金を実現しました。必要な機能のみを追加するオーダーメイド型を採用し、従来のCDNと比べ最大50%のコスト削減を可能にしています。

レッドボックス社CDNサービス特徴

さらに小川氏は「CDNはセキュリティ対策にもつながる」と話します。

「近年激化するサイバーテロですが、そのなかでもDDoS(ディードス)攻撃※や不正な通信・正規ユーザーになりすましたアクセスに対してCDNは非常に有効です。CDNでは分散したエッジサーバーが身代わりとなって独自ルールを用いてブロックできるからです。従来のProxy型WAFで懸念されていたWeb表示速度低下をキャッシュ技術との併用により削減し、セキュリティ・高速化の両立を強力にサポートできます」(小川氏)

※DDoS攻撃:アクセスを集中させることでサーバーをパンクさせようとするサイバー攻撃の手法。

同社はサポート体制も充実しています。CDNに精通した技術チームがCDNの疑問はもちろん、導入・運用方法まできめ細かい支援をおこなっています。こうした低単価かつ高品質なCDNサービスを実現したことにより、商船三井、インターネットイニシアティブ、KADOKAWAなどエンタープライズ系を中心に導入が増えている同社のCDNサービス。しかし、事業が成長していくにつれて「データセンター活用に伴う課題が浮き彫りになっていった」と小川氏は振り返ります。

合同会社レッドボックス CEO 小川勝久氏

「課題は2つありました。1つ目は管理・運用に関するコストです。冗長化のための機器の手配・入れ替え、ライセンス費、メンテナンス費はもちろん、現地で作業する従業員の時間と人件費もそれなりにかかっていました。

2つ目は、提供スピードです。CDNを導入したいお客さまはWebサイトの遅延などに困っており、すぐにでも直したい。しかし、サービスをリリースするうえで必要な回線、サーバー、IPアドレスなどを迅速に増強できないというジレンマに陥っていました。大規模ユーザーであれば、サービス提供までに最低でも1週間ほどかかっていたんです」(小川氏)

「明確な料金設定」「エニーキャストネットワークの利用」「IPアドレスの柔軟な増強が可能」などを評価して移行を決意

管理・運用コスト、提供スピードの課題を解決するために、データセンターからクラウドへの乗り換えを検討した同社。国内外のさまざまなクラウドベンダーを比較・検討し、さくらのクラウドを選定しました。その理由について、小川氏は「明確な料金設定、エニーキャストネットワークの利用、IPアドレスが柔軟に増強できること」などを挙げています。

そのなかでも、とくに「明確な料金設定」に魅力を感じたという小川氏。

「他社のクラウドサービスは機能が多かったり、従量課金制だったりして料金がイメージしにくかったんです。その点、さくらのクラウドはデータ転送量による従量課金がないため料金がわかりやすい。費用の算出と見積もりが簡単で、非常に好感を持ちました」(小川氏)

エニーキャストネットワークは、共通のIPを複数のホストで共有できる仕組みのこと。このネットワークを利用すればユーザーは共通のIPが付与されているサーバーのなかでも、もっとも近いところへDNSに関係なく誘導することが可能です。1つのホストに集中することなく複数のサーバー、石狩と東京の2リージョン間を分散することで、負荷分散や冗長化を実現できるため、CDNと非常に親和性が高い仕組み。小川氏は「エニーキャストネットワークが利用できる点は、CDNサービスを提供する当社としては非常にありがたい」と話します。

また、「IPアドレスの柔軟な増強」にメリットを感じた理由について小川氏は「CDNを導入する際にオリジンサーバーを守りたい」という顧客からのニーズが高かったことを挙げます。通常CDNサービスは複数の共有されたエッジを利用するため、オリジンサーバー側でCDNからのアクセスだけ許可する設定は、HTTPヘッダーなどを用いた方法が一般的です。しかし、これらにはWebサーバー側の設定変更が発生したりコストや技術的な課題があります。同社では、オリジンサーバーを守るために複数の固定IPを顧客ごとに付与し、シールドエッジを経由してオリジンにアクセスさせました。これにより、CDNを導入した環境でもお客様さま専用IPアドレスを用いてオリジンサーバー側でCDNからのアクセスだけ許可することが簡単にできます。そのため、「IPアドレスをすぐに追加できるような環境を探していた」と小川氏は以下のように話します。

「他社製品だと、1つのサーバーにつき増強できるIPアドレス数が決まっていたり、申請が必要だったりします。一方、さくらのクラウドであれば制限なしに追加できますし、面倒な申請も必要ありません。料金も比較的安価だったのも良かったですね」(小川氏)

さくらのクラウドへ移行したことで4分の1のコスト削減に成功

「明確な料金設定、エニーキャストネットワークの利用、IPアドレスが柔軟に増強できること」などの理由から、さくらのクラウドへ移行を決めた同社。実際にデータセンターからクラウドへ切り替えする際、困ったことはなかったのでしょうか。

「直感的なUIだったので構築しやすく、導入はスムーズに進みました。また、公開されているオンラインドキュメントには技術的な内容・価格、注意点がわかりやすく記載してあったため、問い合わせをする必要もほぼなかったですね」(小川氏)

クラウド導入後について、小川氏は「データセンター利用時と比べ、想定以上に不具合・障害がなく、品質は高いと感じています。逆にさくらインターネットがどうやって設計しているのか気になるぐらいです(笑)」と話します。

そして、当初課題だったコスト面は大幅に削減できたといいます。同社では従来、データセンターで増強する際、2人の従業員が1日がかりで作業していました。1人8時間×2人=16時間分の時間と人件費がかかっていましたが、クラウド導入後は1時間で完了できるようになったため、15時間ほどの時間とその間にかかっていた人件費を削減することができました。

「月換算にすると、データセンター利用時にかかっていたコストと比べ約4分の1も削減できました。この効果により、当時リリース予定だった新機能のサービス価格を想定よりも金額を下げて提供できたほどです」(小川氏)

また、「ローカルブリッジによる高速・安定的な接続ができる点」も気に入っていると小川氏。

CDNサービスのさくらのクラウド活用構成図

「ローカルのブリッジ接続は、CDNサービスを展開するために重要な機能の1つです。なぜなら、複数のシールドキャッシュ同士は互いにリージョンを越えてキャッシュをシェアしており、独自のルーティングで頻繁に通信します。とくに容量の大きいコンテンツがキャッシュされた場合など迅速に同期がおこなわれないと、キャッシュヒット率が下がりパフォーマンス低下してしまうからです。ローカルのブリッジ接続に関して、他社製品だと別のゾーン間をつなぐ場合に別料金がかかったり、SLAの対象外だったりします。その点、さくらのクラウドでは料金内で使用できますし、高速で安定しているので満足度は高いです。エンハンスドロードバランサでは「エニーキャスト(自動)」も選択でき、リージョン間のバランシングを任せられるのも良かったですね」(小川氏)

データセンター運用で課題だった属人化を解消、新人育成を強化

現在、同社では完全にクラウドへ移行したわけではなく、一部の機能はデータセンターを活用しています。そのため、不定期でデータセンターに行く必要はある一方、作業頻度はかなり減ったといいます。その結果、「育成業務を強化できた」と小川氏は話します。

「従来データセンターで作業していたベテランエンジニアのリソースを、クラウド運用に関する新人教育に充てています。クラウド運用に関しては、属人化を避けたいので、誰でもできるようにしていく考えです」(小川氏)

今後については、国内企業をターゲットに自社サービスの機能拡張はもちろん、CDN運用に関するコンサルティングサービスも展開していく予定だといいます。

最後に、さくらのクラウドの活用を検討している企業に対して、小川氏は以下のようにコメントしました。

「さくらインターネットはもともとレンタルサーバーから始まった会社ですが、現在ではクラウド事業も展開しています。日本のクラウドベンダーとしては歴史が長く、ガバメントクラウドに登録される(※条件付き認定)など実績も豊富です。日本企業のニーズを捉えたプランやサービスを展開していることが特徴だと思うので、国内向けサービスを展開する事業者や、海外のクラウドサービスが自社のニーズに適していないと感じる企業であれば、さくらのクラウドはぴったりのサービスだと考えます。想定以上にネットワーク・サーバーが安定していますので、使ってみるとびっくりしますよ」(小川氏)

さくらインターネット、ガバメントクラウドサービス提供事業者に選定(2025年度末までに技術要件をすべて満たすことを前提とした条件付きの認定)

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合同会社レッドボックス(RedBox LLC)
事業内容
CDN事業、負荷分散システム開発事業、インフラ・コンサルティング事業、ストリーミング配信事業、セキュリティ事業
設立
2015年3月

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