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日本鋳鉄管株式会社
クラウド化を目指してデータセンターへ。さくらインターネットだからできる“リフト&シフト”
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医療法人 札幌ハートセンター 札幌心臓血管クリニック(以下 札幌ハートセンター)では、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の一環として、電子カルテシステムに蓄積されたデータを保存するサーバーを石狩データセンターに設けてハウジングをベースとした運用のアウトソーシングを実現しました。IT化が遅れている日本の医療業界において「病院もIT化が必要」と考えた札幌ハートセンターではDXに着目し、今回のプロジェクトを遂行してきました。今後は電子カルテデータを高度解析していくことで、日本一のIT病院を目指したいとしています。
札幌ハートセンターは循環器内科と心臓血管外科を有する、病院です。現在の病床数は85床ですが、冠動脈のカテーテル治療の症例は年間2000を超え、国内でもトップレベルの冠動脈のカテーテル治療を行っています。
北海道内に42のサテライト外来(提携先)病院を擁しており、稚内や網走など遠方でも同院の医師がローテーションを組んで「出張診療」を行っています。患者様を送迎するための車両課も設け、「全道の心臓を守っていく」をポリシーに掲げています。同院の藤田勉理事長 兼 院長の信念である「心臓病で命を失わせない」のもと、北海道の医療に貢献しています。
同院ではクラウド型の電子カルテシステムを導入していましたが、カスタマイズしにくいという課題があり、新しい電子カルテシステムの導入を考えていました。しかし院内に電子カルテシステムのサーバーを置くために新しくスペースを設けることは困難な状況であることと、今後のITへの取り組みへは院外を含めた検討が必要との考えがありました。
「当院は中規模病院のため、院内にサーバーを置くスペースの余裕がありませんでした。患者様を優先して病床や設備に多くの面積を割いているので、職員が待機する場所もあまりないほどですから」とIT部システムエンジニアの太田旬氏は振り返ります。
そこで当初は「電子カルテをどのように運用していったらいいのか」など院内の意見を集約していたのですが、2019年10月、遅れた日本の医療業界をDX(デジタルトランスフォーメーション)でIT化することを経営計画に掲げ、「札幌ハートセンターを日本一のIT病院にすることを目指す」との方針が決まったのです。
「将来に対しても拡張性を持たせたシステムを構築するため、院内のアプリケーションの見直しとインフラ整備を行うことを決めました。そこでプラットフォームの一新を考え、電子カルテシステムに部門システムを付けていくのではなく、データの重複入力も防げるよう、電子カルテシステムのほか部門システムのサーバーも含めてデータセンターに置くことを決めました」と才門功作理事兼ゼネラルマネージャーは当時の状況を語ります。
札幌ハートセンターではいくつかのデータセンターを比較検討していたところ、北海道にありながら、2018年9月6日に発生した最大震度7の北海道胆振東部地震でも停止せずに稼働し続けたさくらインターネットの石狩データセンターに注目したのです。
「石狩データセンターは当院から10kmも離れていない場所にありますので、何かあった際にはすぐに対処しやすいという点も含めて検討させていただきました」(太田氏)。
続けて、才門氏は次のように話します。
「当院では電子カルテはもちろん、経営データや臨床研究データ、国際的なデータも含めた信頼がおけるデータセンターを将来的にも活用していく予定です。その点では当院が行っていこうとしている医療のDXにも賛同いただき、業界最高レベルの設備を持つさくらインターネットの石狩データセンターを選択することが最適だと考えました」
石狩データセンターでのハウジングをスタートするにあたり、さくらインターネットと北海道地域で事業を展開するさくらインターネットの子会社ビットスターのほか、電子カルテシステムを含めたすべてのベンダーがワンチームとして一丸となって今回のプロジェクトを進めていきました。そのときの状況を太田氏は次のように説明します。
「コロナ禍のため対面でのミーティングは行えませんでしたが、少し時間が空いたらオンライン会議ツールで話し合いをするという形でフレキシブルに、そして気軽にミーティングを行うことができました。それが今回のプロジェクトを進めるにあたって、やりやすかったことの一つです」
電子カルテシステムをデータセンターに置き、院外で運用するようになったことで、職員の意識にも影響を与えています。
「これまで職員の間には『今まで続けてきたやり方が最も良い』という考え方がありました。しかしDXを推進し、電子カルテシステムをデータセンターに置いて運用するようになると、『新しいことができるんだから今までのやり方を変えてみよう』という考え方に変化してきたのです。職員たちの意識が前向きになってきたと感じています」(太田氏)。
これまで医療業界では物事を変えていく余裕がなかなかありませんでした。それがDXを推進していくことにより、それに合わせて変えていこうという意識改革が高まっています。
さくらインターネットの協力を得ながら日本一のIT病院を目指したい
現在、電子カルテシステムに医療画像を含む臨床データを蓄積しているフェーズを迎えた札幌ハートセンター。将来的には統一された定義に基づいて収集・蓄積した臨床データを活用しつつ、プロジェクトベースで国際的な研究論文を発表していくという構想も持っています。
「まずは北海道内で拠点を増やしていくほか、関東や関西も視野に入れた専門病院を展開していこうと考えています。各施設で実施したX線やCTなどのデータはすべて当院に送り、高度な画像解析は札幌ハートセンターで行うといったようにハブ機能を持つことで、さらなる医療貢献を果たしたいと考えています。それは当然、最先端のITを導入しないと実現しませんので、さくらインターネットにご協力いただきながら日本一のIT病院を目指していきます」と才門氏は将来の目標を語ります。
「カルテを電子化することで医療画像も電子カルテに蓄積できるようになるだけでなく、病院の地域連携においても電子カルテデータを送受信することによってデータの共有が簡単・正確になり、蓄積したデータの解析も可能になります」(才門氏)
「現在の石狩データセンターは厚生労働省の医療情報システムの安全管理に関するガイドラインに沿ったセキュリティを満たしています。そこに医療系に特化したセキュリティをさらに高めたスペースやクラウドがあれば、医療の安全性を担保した運用ができるのではと考えています」(太田氏)