登録ユーザー数300万人以上のeラーニングシステムを支えるさくらのクラウド
- WEBサービス&アプリ提供者
チエルコミュニケーションブリッジ株式会社
- クラウドサービス(IaaS)



「防災アプリ」の先駆けとして、2010年にスマートフォン向け緊急地震速報アプリ「ゆれくるコール」をいち早くリリースしたアールシーソリューション株式会社。同社は現在、観光庁監修の訪日外国人向け災害時情報提供アプリ「Safety tips」、企業の事業継続を支える「BCP-PREP」など、多角的な防災ソリューションを展開しています。 そして、その多くのソリューションを支えるインフラ基盤には「さくらのクラウド」が採用されています。災害時に急増するアクセスへの対応や、確実に情報を届けるための仕組みづくりなど、同社が取り組んできたインフラ改善とはどのようなものだったのでしょうか。今回は、事業推進室 大本凜氏と、第一技術部の池端健太郎氏に導入経緯とその効果、そして今後の展望まで聞きました。 ※写真右は同社の代表取締役 栗山 章氏
アールシーソリューションは、情報提供サービス、システム開発、運用保守、コンサルティング業などを通じて、「防災・減災ソリューション」を提供しています。緊急地震速報通知アプリ「ゆれくるコール」を中心に、安否確認サービス「つながるコール」、防災プラットフォーム「防災クラウド」、事業継続マネジメント支援アプリケーション「BCP-PREP」、外国人旅行者向けの災害情報通知アプリ「Safety tips」など、多様な防災ソリューションを提供しています。
そのなかでも特筆すべきアプリは「Safety tips」。観光庁監修のもと開発され、日本国内で緊急地震速報、津波警報、気象警報、熱中症情報、避難情報などを受け取ることができます。訪日外国人旅行客向けのアプリとして、日本語、英語、中国語(繁・簡)、韓国語、スペイン語、ポルトガル語、ベトナム語、タイ語、インドネシア語、タガログ語、ネパール語、クメール語、ビルマ語、モンゴル語の14か国語・15言語に対応。アメリカ大使館のホームページ、空港のポスター、全国の観光案内所や自治体で紹介されており、ダウンロードする外国人ユーザーは日に日に増えています。
そんな同社ですが、2002年設立当初は一般的なIT企業としてスタートしました。大きな転機となったのは、緊急地震速報の民間提供が開始された2007年。「ITと防災は親和性が高い」と感じ、防災アプリ開発に着手しました。その結果、完成したのが2010年にリリースした「ゆれくるコール」です。その後、「防災×IT」に活路を見出し、さまざまな防災ソリューションを開発提供し、事業を成長させていきました。

現在同社では、情報を伝えるだけでなく、事前の「備え」を促すことにも注力しています。
「災害発生の可能性を伝えるだけでなく、家具の固定など事前の対策を講じることで、より高い安全性を確保できます。そのコンセプトを形にしたのが、総合防災アプリ『PREP』。災害発生時に必要な行動を検討したり、避難場所や防災用品などを登録したりすることで、一人ひとりに合った防災計画を立てることができます」(大本氏)
国内で大規模災害が多発するなか、BCP対策に注力している企業も増えています。そうしたBCP管理者向けには「BCP-PREP」を提供しています。策定したBCPをまるごとデジタル化することで、管理者は計画の見直しをいつでも簡単におこなえ、精度を高めていくことができます。また、従業員が「PREP」を使用すれば、従業員への周知も一括で可能に。
同社が、インフラ環境をクラウドに移行した転機は、2011年の東日本大震災。震災前から「ゆれくるコール」のユーザー数はすでに10万人を超えていましたが、震災後はさらにダウンロード数が伸長したといいます。

「震災当時、iPhoneでは緊急地震速報を直接受け取る仕組みがそこまで整備されていませんでした。そのため、SNSを中心に『ゆれくるコールを入れればiPhoneでも速報が届く』という情報が拡散。ユーザー数が100万、200万人へと膨れ上がりました。当時は自社内にサーバーを置くオンプレミス運用でしたが、事務所に泊まり込みで対応しても、リソースがまったく追いつかない状況でした」(池端氏)
この危機的な状況に対し、当時iPhoneの独占販売をおこなっていたソフトバンクから「地震情報を国民に届けるために全面的に協力したい」との申し出があり、数年間にわたりハイスペックなサーバーを支援してもらったといいます。
その後、同社ではソフトバンクからの支援期間が終了した2014年ごろから移行先を検討し始めました。
移行先を検討する際、オンプレミス回帰ではなく引き続きクラウドにした理由について、池端氏は以下のように話します。
「防災アプリは、災害時は数百万人へのプッシュ通知をおこないますが、平常時はあまり使用されないという特性があります。そういうことを考えると、負荷に応じて柔軟にスケールアップ、スケールアウトできる環境が必要だと感じ、引き続きクラウドを使用することにしました」(池端氏)
クラウド選定時には、外資系クラウドも比較対象に挙げたという同社。そのなかで、「さくらのクラウド」に決めた最大の理由は、「圧倒的なコストパフォーマンスと、日本企業ならではの手厚いサポートにあった」と池端氏は振り返ります。
「移行後に必要となるサーバー構成で多くの企業で見積もりを取ったところ、さくらのクラウドがダントツで安価でした。また、私たちのサービスは人命に関わるため、通知の遅延は絶対に許されません。数百万ユーザーへ同時に災害情報を届けるという技術的な難題に対し、さくらインターネットの営業担当の方は、エンジニアをともなって私たちの困りごとに一歩踏み込んで相談に乗ってくれました。大規模配信を実現するためのアーキテクチャーの変更についても柔軟に対応していただきました」(池端氏)
同社では、「ゆれくるコール」の基盤として「さくらのクラウド」を使い始め、その後さまざまな防災ソリューションでも同様に移行していきました。
「さくらのクラウド」の導入後、同社は期待どおりの効果を実感しています。コスト面では、データ転送量が実質無料であることを受け、外資系クラウドと比較してもインフラ費用のスリム化に成功しました。
「価格体系がシンプルで、データ転送量による従量課金がないため、予算計画が非常に立てやすい。また、コントロールパネルのUIが非常に直感的で、エンジニアが気軽にサーバーを立てて検証できるスピード感も気に入っています。10年以上の運用において大きなトラブルもなく、安定稼働を続けていることは、防災サービスを提供する私たちにとって最大の安心材料ですね」(池端氏)

今後、アールシーソリューションでは「さらなる防災DXの推進を目指していく」と大本氏は力強く語ります。
「今後は、企業の事業継続を支える『BCP-PREP』の普及に注力していきます。災害が起きたあとの安否確認だけでなく、平時からリスクを管理し、社会の安定に寄与したいと考えています。また、地震リスクを抱えるインドネシアやアメリカなど、海外展開も視野に入れています」(大本氏)
最後に、さくらインターネットへ期待することについて、池端氏に伺いました。
「現在、他社のクラウドベンダーのサービスは一様に多機能化している流れにありますが、さくらインターネットにはあえて『シンプルで使いやすい』良さを守り続けてほしいと思います。日本のAIインフラやクラウド基盤を牽引するさくらインターネットとともに、私たちはこれからも命を守るテクノロジーを磨き続けていきたいです」(池端氏)
※掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。
