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国立大学法人 東京大学
東京大学がさくらで「WEB PARK」を刷新。サービス利用者が増えて満足度も向上。
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2004年12月の会社設立以来、「薬に関わるすべての人に好循環を」という社会的使命に基づき、調剤薬局チェーンやドラッグストア、保険薬局などの業務効率化やサービス向上を支援してきたグッドサイクルシステム。同社は、2012年にリリースしたiPadを活用したスマート薬歴管理サービスである「GooCo(グーコ)」のシステム基盤を、2014年にさくらのクラウドへ移行しています。
グッドサイクルシステムでは、電子薬歴システムの「TomorrowPharmacy21」や「フロントシステムKY2」、調剤過誤防止ピッキングシステム「正」など、調剤薬局チェーンやドラッグストア、保険薬局向けのサービスを提供しています。当初、オンプレミスの基盤上でサービスを提供していましたが、ハードウェアの調達や設置、設定、運用管理などが煩雑になってきたことからクラウドサービスの活用へと舵を切ります。
その一環として、2012年9月にリリースしたiPadを活用したスマート薬歴管理「GooCo」では、システム構築基盤として、外資系クラウドサービスを採用しました。しかし、同サービスを利用し始めて2年を経過したころから、大きく2つの課題を感じるようになりました。同社の代表取締役 遠藤朝朗氏は、次のように語ります。
「外資系クラウドサービスを利用しはじめたころは、1ドルが80円程度でしたが、その後1ドルが120円になってしまったため、コストメリットが薄くなってしまいました。また当時はまだそのサービスが日本に拠点がなかったので、お客様には“医療情報を海外のクラウドサービスに預けても大丈夫なのか”という懸念もありました」
同社では、いくつかの国内クラウドサービスを比較検討した結果、2014年にさくらのクラウドの採用を決定します。遠藤氏は、「為替変動に影響されないこと、国内法の及ぶ範囲で医療情報を管理できるクラウドサービスであることが、さくらのクラウドを採用した最大の理由でした」と話します。
基本的なGooCoのシステム構成としては、さくらのクラウドとGooCoを利用する企業の本部をVPNでつなぎ、各店舗は本部とのネットワークを介して、各社ごとに構築されたクラウドサーバー上で、GooCoのサービスを利用できるようになっています。
CS部長の神藤良典氏は、「基本的には、各社のリプレースのタイミングで、既存のクラウドサービスから、さくらのクラウドに移行してもらっています。本部と店舗はネットワーク接続されているので、本部とさくらのクラウドをつなぐだけで簡単にGooCoの利用を開始できます。VPNの構築は、少し工夫が必要でしたが、クラウドサーバーは問題なく構築できました」と話します。
また同社では、さくらのクラウド以外にも、さくらインターネットのハウジングサービスを利用して、同社の社内システムを稼働させています。神藤氏は、「ユーザー用のシステムは、すべてクラウドで運用していますが、物理サーバーで運用したい社内システムやNAS、Active Directoryなどを、ハウジングサービスで運用しています。本社と各拠点をつなぐためのルータも設置されています」と話しています。
さくらのクラウドを採用した最大の効果は、管理性の向上です。神藤氏は、「GooCoをリリースした当時の外資系クラウドサービスは、管理画面が英語表記のため、使い方の分からないサービスがあり、それを調べるために時間がかかっていました。そのサービスの管理画面に比べると、さくらのクラウドの管理画面は非常にシンプルで使いやすいです」と話します。
「新しいサービスを提供する前に、システムの検証環境を構築する場合、これまでは物理サーバーの用意・設定などで準備に時間と工数がかかっていました。また検証作業が終了した後は、物理サーバーが不要な資産となってしまいます。さくらのクラウドであれば、必要なときに仮想サーバーを立ち上げて、終わったら消すという作業が簡単にできます。物理的な機器がないので、管理が非常に楽です」(神藤氏)。
またオンプレミス環境でサービスを提供しているときには、もしトラブルが発生すると、データセンターに行って対応しなければなりませんでした。さくらのクラウドを採用したことで、トラブルが発生しても、場所を問わずにトラブル対応が可能になりました。神藤氏は、「以前は、お客様対応のために、飛行機で九州まで行ったこともありました。今では、こうしたことはなくなりました」と話します。
遠藤氏は、「さくらのクラウドは、国産クラウドサービスなので、為替変動の影響を受けず、国内法も順守できました。また外資系クラウドサービスは、通信量で利用料が変化するため、GooCoのサービスを定額で提供することが困難でした。さくらのクラウドは従量課金でなく定額料金なので、GooCoのサービスを定額で提供できるようになることもメリットの1つでした」と話しています。
さくらのクラウドに対する今後の期待について神藤氏は、次のように語ります。「今後、さくらのクラウドには、フレッツ接続ができるようになることを期待しています。フレッツ接続があれば、顧客にルータを用意してもらう必要もなくなり、いま以上に簡単に接続できるので、より多くのお客様にGooCoを使ってもらえるようになります。また、VPNを使うことなく、HTTPSなどを活用することで、小規模の薬局でも安全に使えるサービスも実現したいと思っています」
さらに遠藤氏は、「2025年以降に団塊世代が75歳以上になると、高齢者は複数の病気を併発するため、このままでは医療財政がさらに逼迫することが予想されています。これからの薬局は無駄なお薬を減らし、最適な薬物治療を支えるキープレイヤーとしての変革が期待されています。GooCoに関しては、この薬局の変化を先取りして対応していくのはもちろん、規模の小さい薬局チェーンにもクラウドのメリットを提供できることも目指しています。さくらインターネットには、そのためのサポートや提案を期待しています」と話しています。