導入事例

ドライバーとチーム間の無線音声をデジタル化「さくらのクラウド」でリアルタイムに収集・管理 SFgo

株式会社日本レースプロモーション 様

株式会社日本レースプロモーションは、SUPER FORMULA(全日本スーパーフォーミュラ選手権)の運営をおこなっている企業です。同社では、2023年からSUPER FORMULAのレース映像のほか、オンボードカメラ映像やチーム無線、ドライバーの音声、テレメトリーデータが楽しめるスマートフォンアプリ「SFgo(エスエフゴー)」を提供していますが、無線音声データを収集・管理しているのが「さくらのクラウド」です。「SFgo」でどのようにモータースポーツ業界のデジタル化を目指しているのか、日本レースプロモーション マーケティング部 美納 颯太氏に詳しく伺いました。

課題
既存のアプリケーション基盤である外資クラウドと連携したい
初のアプリ開発であり、従量課金制ではコスト算出が難しかった
無線音声の会話は加工がしにくいアナログデータだった
効果
別クラウドのストレージにデータを転送する方法をサポート
月額固定制でアプリ開発のコスト算出が容易に
無線音声の会話をデジタルデータで管理し、加工を実現

スーパーフォーミュラの公式アプリ「SFgo」の無線データ収集・管理に、「さくらのクラウド」を採用

株式会社日本レースプロモーションは、「全日本F3000選手権シリーズ」にかわり「全日本選手権フォーミュラ・ニッポン(現スーパーフォーミュラ)」を立ち上げたモータースポーツ運営企業です。

2022年には、「全日本F2000選手権」開幕から50年という節目を迎えるにあたり、本田技研工業やトヨタ自動車を中心とした、モビリティとエンターテインメントの技術開発パートナーシップを発足。モータースポーツの持続可能な未来を目指す新プロジェクト「SUPER FORMULA NEXT50」をスタートさせました。

このプロジェクトでは、フォーミュラカーも含め、自動車がインターネットなどの通信機能を活用して、外部と情報をやり取りできるコネクテッドカーへと進化していったことで、これまで車内にしか存在していなかったデータを収集できるようになり、自動車のDX化が進みました。

中でも注目すべきは、フォーミュラカーの車内外で交わされている無線音声のクラウド管理への移行です。これはモータースポーツにおけるDXの一環として進められており、レースの臨場感や戦略性をより多くの人に伝える手段としても期待されています。また、スーパーフォーミュラは現在、国内最高峰で最速のフォーミュラカーレースシリーズとなっていますが、グローバルな展開も意識しています。海外ファンを増やすためにも、無線音声の収集と管理には外資クラウドが採用されました。

2023年、同社は新デジタルプラットフォームとして公式アプリ「SFgo」をリリースしました。

「このアプリは、フォーミュラカー内に設置されたカメラのオンボード映像が視聴できるほか、走行中のフォーミュラカーの情報をリアルタイムで取得・共有することができます。さらにドライバーとチーム間の無線音声もリアルタイムで聞けるという特徴を持つ、これまでにない機能を備えた革新的なモータースポーツアプリです。

株式会社日本レースプロモーション 美納 颯太氏

当初は『SFgo』でも、全て外資クラウドを採用することを考えました。しかし、外資クラウドは利用状況に応じて柔軟にコストを調整する従量課金制です。そこにはメリットもありますが、為替変動の影響を受けやすいというデメリットも存在していました。

当社としてもアプリの運営は初めてのことであり、従量課金制ではデータ転送量などのコスト算出が難しく、安定的な運用が課題となりました」(美納氏)

スーパーフォーミュラは日本国内のレースシリーズであり、現時点ではグローバルにリージョンがあるようなクラウド基盤は必須ではありません。そこで、「SFgo」における無線音声の会話データ収集・管理システムに関しては、月額固定制で事業としてコスト算出がしやすい「さくらのクラウド」を採用することとなりました。

「スーパーフォーミュラの無線システムではもともと『さくらのクラウド』を利用していたのですが、『SFgo』でも、レース中のドライバー無線音声の収集・管理に『さくらのクラウド』を利用することにしたのです。ただ『SFgo』の基盤自体は外資クラウドを継続して利用していましたので、両者を連携させる必要がありました。その際、さくらインターネットに別クラウドのストレージにデータを転送する方法をサポートいただきましたので、スムーズにマルチクラウドを構成することができました」(美納氏)

「さくらのクラウド」で無線会話をデジタルデータで管理できるように

以前は、ドライバーとの無線音声の会話はアナログデータだったのですが、「さくらのクラウド」を活用するようになってからは、無線会話をデジタルデータとして管理できるようになりました。

「『SFgo』は無線音声が全てプレイリスト形式でクリップできるようになっています。これはデジタル処理が可能になったことによる大きな効果です。また、レース中の音声はノイズが大きく入りますが、デジタルデータであればノイズを抑え、聴きたい音声のボリュームだけを上げるといった加工が容易に行えます。このようなレース中のリアルタイムの音声処理にも安定して対応できるのが『さくらのクラウド』の強みであり、これがスーパーフォーミュラの観戦体験の向上につながっています。

また、『SFgo』の無線音声を通して、ファンが喜ぶようなコメントを発するドライバーもいます。このような無線会話データが聴けることは、『SFgo』における一番のキラーコンテンツだと考えています」(美納氏)

国産GPUクラウドサービス「高火力」を導入してアプリケーションの機能を向上していきたい

今後、さくらインターネットの国産GPUクラウドサービス「高火力」を導入したいと、美納氏は話します。

「高火力クラウドサーバーのスペックを十分に活用できるアプリケーションを開発し、より詳細な映像解析や音声解析ができるようにすることが将来的な広がりの1つとして大きいと思っています。GPU含めクラウドサーバーのスペックはどんどん上がっていますので、アプリケーションの機能も向上していきたいと考えています」(美納氏)

また、「さくらのクラウド」に対しては今後、マルチAZ(アベイラビリティゾーン)に対応してほしいと話しています。

「日本は地震が多い国ですので、例えばもし北海道で大地震が発生し石狩データセンターに設置しているサーバーがダウンしてしまったら、『SFgo』自体もダウンしてしまいます。同一リージョン内の複数のゾーンにシステムを分散配置し独立して稼働・運用されるマルチAZであれば、その心配がなくなります。ワールドワイドを意識しているスーパーフォーミュラでは将来的にアジアを含めた海外に進出しようとしていますので、今後検討していただきたいですね」(美納氏)

スーパーフォーミュラの無線データが「さくらのクラウド」に蓄積できるようになった現在、これを基盤にしてさまざまな企業に参入してもらうことで内外問わず「SFgo」の活用が広がっていくでしょう。

【ご担当者の声】

株式会社日本レースプロモーション
美納 颯太氏
「『さくらのクラウド』を利用した『SFgo』により、スーパーフォーミュラは常に挑戦を続けています。さまざまな楽しい企画に対して高い評価をいただいており、スーパーフォーミュラのファン層の数は伸びています。今後も『追いつけ、追い越せ』の精神で、新しいことにチャレンジしていく所存です」

※掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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株式会社日本レースプロモーション
事業内容
自動車競技会の運営業務、プロモーション業務、スポンサー営業業務、PRに関する代理業務、モータースポーツに関連するテレビ番組・ビデオパッケージ・画像等の企画・制作・販売・配信の業務、調査・マーケティングの業務、他
設立
1995年2月28日

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