導入事例

日本最大級の海外ショッピングサイトを支えるさくらの「専用サーバ」と「VPS」

株式会社ショップエアライン 様

海外ショッピングサイト「セカイモン」を運営するショップエアラインでは、サーバおよびデータベースの保守切れのタイミングに合わせてシステムを一新。さくらインターネットの専用サーバとVPSを組み合わせて利用することで、システムの運用コストを大幅に低減するとともに、開発生産性の向上を実現。利用者へより魅力的なサービスを提供できるようになりました。

課題
システムの属人化による開発生産性
ビジネス拡大に伴うサーバ負荷の急増
サーバおよびデータベースの保守切れ
効果
システムの運用コストの大幅な低減
柔軟なシステム構成が可能になり、開発生産性も向上
エンジニアの負担軽減によるリソースの有効活用

保守切れに合わせ、システムの一新を決断

ショップエアラインシステムグループ マネージャー
小松 清二郎 氏

ショップエアラインが運営する海外ショッピングサイト「セカイモン」は、国内のユーザーがeBayなど海外のオークションサイトを利用する際に障壁となる言語や決済、配送、商品確認、返品などの問題を同社が代行することで、気軽に海外での買い物を楽しむことができるサービスです。その独創性からビジネスは年々拡大しており、今では月間閲覧数1600万人を擁しています。
 「ショップエアラインは、各種Eコマース事業を展開するBEENOSのグループ会社のひとつとして、『セカイモン』を通じ、国内では見つけることができないユニークな商品と出会える場を提供しています。例えば、海外のSNSで話題になった国内未発売のスニーカーでも、『セカイモン』なら簡単に買うことができます。そして輸入から商品確認までは当社が代行しますので、品質という意味でも安心です」(BEENOS 社長室 広報 佐藤唯氏)。
 ショップエアラインでは、Webサイトから物流、決済、会計にいたるまで、システムのすべてを社内で内製しています。
 「お客様に快適なショッピングを楽しんでいただくには、サイトのユーザビリティを改善したり、新しい機能を追加したりする必要がありますが、その際にはスピードが重要です。社外に委託するとどうしても時間がかかってしまいますし、コミュニケーションロスにより要件がうまく伝わらないこともあります。こうした理由から、当社ではすべての開発を社内で行っています」(ショップエアライン システムグループ マネージャー 小松 清二郎 氏)
 さて同社では長年データベースにOracle RACを使ってきましたが、その間にシステムの属人化が進行。データを修正する際にはどんな影響が出そうか複数の担当者に聞いて回る必要があり、開発スピードが遅れる原因となっていました。また、ビジネスの成長に伴ってサーバへの負荷が急激に高まりつつあり、何らかの対策が必要でした。こうした状況の中、サーバとOracle RACの保守切れが迫ってきたことから、データベースまで含めシステムの一新を検討することになりました。
 「見積をとってみたところ、そのまま更新した場合はもちろん、仮に構成をダウングレードしたとしても莫大なコストがかかることが判明したので、思い切ってリプレースを検討することにしました」(小松氏)
 さらに同社では更新に合わせ、オンプレミスでの運用も見直すことにしました。
 「例えばサーバを増強しようとしても、オンプレミスでは手続きなどを含めると納品に2週間ぐらいかかってしまいます。これでは現場からの要望へ柔軟に対応することが難しく、ビジネスのスピードに追いつけません。初期費用やランニングコストの面を考えても、オンプレミスの運用を続けるという選択肢はなかったですね」(小松氏)

コストパフォーマンスの良さからさくらインターネットを選択

BEENOS株式会社社長室 広報
佐藤 唯 氏

ショップエアラインは、複数のクラウドサービスやホスティングサービスを比較・検討。2017年7月、さくらインターネットの専用サーバとVPSを組み合わせて利用することを決めました。
 「さくらを選定した理由は、他社と比べてコストパフォーマンスに優れていたことです。別の大手サービスとも比べてみたのですが、安さでは比較になりませんでしたね」(小松氏)
 とはいえ、今回は同社のビジネスを支えるシステムの更新ですので、サービスの信頼性が何より重要です。その点ではさくらの豊富な実績が心強かったといいます。
 「いくつもの大手サイトがさくらのサービスを利用していますが、ユーザー数が多く、アクセスの急増がしばしば発生するようなサイトでも安定して運用できているという点を評価しました。加えて、当社は2012年からさくらのVPSをFTPサーバに利用しており、特にトラブルなどなかったことからも安心感がありました」(小松氏)
 導入については、システムを一気に切り替えるのではなく、まず2018年2月に問い合わせシステムを更新。その後、6月にドイツの倉庫システム、続いて英国、米国の倉庫システムと適用範囲を広げていき、10月にトップページや検索結果ページなどフロントシステムまで含めたすべてのシステムを更新しました。

運用コストの削減と開発生産性の向上を実現

ショップエアラインがシステムを一新してから取材時点(2019年3月)で半年が経過しましたが、大きなトラブルもなく安定した運用が続いています。
 今回の導入における最大の効果は、コストの大幅な削減です。データベースをオープンソースのSQLに変更するなど、システム全体を見直した効果と合わせ、コストは運用費だけで約4分の1になりました。
 「単に安いだけでなく、安心してサーバを運用できることも大きいと思います。専用サーバやVPSのサービスはたくさんありますが、サーバ運用を本業としている会社は決して多くありません。その点、さくらインターネットは餅は餅屋と感じることが多いですね」(小松氏)
 また、今回の導入は開発生産性の向上にも大きく寄与しました。専用サーバとVPSの組み合わせにより、柔軟なシステム構成が可能になり、いわゆるマイクロサービスという設計手法をとれるようになりました。従来、同社のシステムはフロントエンド、倉庫、問い合わせなどの各システムを同一のデータベースで運用していましたが、データベースを細かく分けて接続部分をAPIで連携させることにしたのです。機能別にデータベースを分けることで、負荷分散が実現。障害が発生したときも、影響範囲を最低限に抑えることが可能になりました。結果、あるシステムを修正する際も、他のシステムへ及ぼす影響がほとんどなくなったため、エンジニアへの負荷が減り、開発がスピードアップ。さらには、担当者ごとの守備範囲が明確化し、システムの改修や拡張もやりやすくなりました。
 「エンジニアの負荷が軽減されたことで、商品の画像認識や関税の自動見積など新技術の開発にリソースを割けるようになったのも導入の波及効果といえるかもしれません」(小松氏)

構成図

プロジェクトで得た知見をコミュニティに還元していきたい

システムの一新を実現したショップエアラインですが、さくらインターネットへの今後の期待としては、専用サーバやVPSを利用した高負荷サービスのナレッジやドキュメントの充実、コミュニティづくりなどに取り組んでほしいと述べています。
 「今回はNginxをプロキシサーバにして負荷分散を実現しましたが、そうした前例がなく苦労しました。とはいえ、プロジェクトをそうした通じて知見を得ることができましたので、今後、ユーザー会のようなものを充実してもらえれば、当社としてもアドバイスやコンサルタンティングなどでお手伝いできるかもしれません。今後はいろいろなかたちで協業していけることを期待しています」(小松氏)

本記事で紹介している「さくらの専用サーバ」は現在、新規お申し込み受付を終了しており、後継サービスとして「さくらの専用サーバPHY」を2020年7月28日より提供しています。

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株式会社ショップエアライン
事業内容
インターネットショッピングに関する海外関連事業の企画・開発・運営
設立
2007年

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