導入事例

地域高齢化社会を宅配弁当で支える。「宅配弁当どばし」が「さくらのVPS」でデジタル基盤を構築

株式会社カネト 様

導入サービス

株式会社カネトは、高齢化が進む地域社会において、高齢者の健康と生活を支えることを使命に、介護食の宅配事業を展開しています。食事の提供に加え、高齢者の見守り支援もおこない、自治体、医療機関、ケアマネジャーと連携しながら、地域に根ざしたビジネスとして着実に成長を続けてきました。 顧客の増加に伴い、サービスを安全かつ円滑に運営するための情報管理の負担が増加していたところで、ITシステムの導入を決断。その基盤として「さくらのVPS」が選ばれました。 表計算ソフトで1,200を超える顧客のさまざまな情報を手作業で管理していた同社が、さくらのVPSを活用して業務のデジタル化を実現するまでの経緯と、システム構築後の変化をご紹介します。

課題
表計算ソフトの手作業で1,200人超の顧客情報を管理
アレルギーや利用履歴などの情報を見落とす懸念
毎月500件超の請求書を社長自身が手作業で作成、作業時間が膨大に
効果
情報がデータベースとして整理され、アクセスや管理が簡単に
ヒューマンエラーが起きにくい仕組みへ
業務効率化により捻出したリソースで、付加価値を生む機能を実装

「1,200人分の情報を表計算ソフトで管理」事業拡大するなかで手作業に限界

株式会社カネトの創業者である土橋氏は、大手小売業で経験を積んだ後に地元にUターンし、家業である食料品店を引き継ぎました。地元密着の事業を続けるなかで地域の少子高齢化が進み、とくに高齢者の買い物環境が悪化していることに危機感を覚えていたといいます。

そのようななか、高齢者向けの福祉サービスの拡充を目的とした「介護保険制度」がスタートし、高齢者向けの福祉サービスが全国的に拡充されていきました。これをきっかけに、土橋氏は介護福祉事業への展開を決意。2004年に「宅配弁当どばし」 を立ち上げました。

「宅配弁当どばし」は和歌山県のかつらぎ町を中心に展開する、介護食・療養食に特化した宅配サービスです。管理栄養士監修のもと、栄養バランスに配慮した食事を提供し、さらに宅配時にユーザーの様子を確認する「見守り支援」を実施することで、自治体や医療機関、ケアマネジャーとの連携も進め、地域の安心・安全を支えるサービスへと発展していきました。現在は個人宅への配送に加え、BtoB事業として福祉施設や一般企業向けの給食提供、地元小学校への食材納品なども手掛けています(2025年2月時点)。

株式会社カネト 代表 土橋靖弘氏

「最初は数十件ほどの注文から始めたので、表計算ソフトの手作業管理で十分でした。しかし、お客さまが増えるうち、情報の管理が大変になっていきました」(土橋氏)

アレルギー情報やサービスの利用形態、一度利用を停止したあとに再開したユーザーの履歴など、すべての情報を社長である土橋氏が1人で管理していたため、ユーザーが増えるに伴って土橋氏の作業時間が増大。システム化の直前には、同氏は1人で1,200人を超える顧客情報を管理していました。

Claris FileMakerを活かす「さくらのVPS」

システム化の相談を受けた松井氏(合同会社ダイナリンクス)は、当時を振り返って「とくに請求業務が課題でした。毎月、約500件の請求書を社長自身が表計算ソフトで作成しており、情報を探すのも困難になっていました」と語ります。

松井氏はヒアリングを通してデータベースの要件を整理し、そのうえで、データベースに強みを持つノーコード開発ツール「Claris FileMaker」が適していると判断しました。そこで、FileMakerを活用した開発に精通している合同会社イボルブの八木氏に協力を依頼しました。

合同会社ダイナリンクス 代表 松井康成氏

「松井さんの話を聞いて、私もClaris FileMakerが適していると思いました。FileMakerは、文字情報はもちろん、画像やスキャンしたPDFデータなど、多種多様な形式のデータをスムーズに一元管理できます。また、大規模な開発や調達が不要で、用途に特化したシステムを構築しやすいツールです。今回のカネトさんの課題を解決するのに最善のツールだと思いました。そして、そのFileMakerを活かす最適な環境として、さくらのVPSを採用しました」(八木氏)

八木氏によれば、さくらのVPSがClaris FileMakerの活用に適していた理由はいくつかあったといいます。

合同会社イボルブ 代表 八木省一郎氏

「まず、導入を検討していた2022年当時、すでにAWSでのFileMaker Serverの提供は終了していました。Linux版は存在していたものの、当初はCentOS版のみの提供でした。さらに、RedHatの方針によってCentOS Linux 8の開発終了が発表されていたため、CentOSの長期運用が見込めず、Ubuntu版のFileMaker Serverの登場時期は不確定でした。そのためUbuntu版ありきでの開発には慎重になる必要がありました。こうした背景から、稼働実績が豊富なWindows Server環境での運用が現実的だろうと判断しました。低コストでWindows Serverを利用できること、実績が豊富で安定した運用が見込めることが決め手となり、さくらのVPSを採用しました。

そして、FileMaker Serverの体験版が初期設定されていた点も大きなメリットでした。通常なら環境構築に手間がかかりますが、さくらのVPSならすぐに試せる状態になっており、スムーズに導入できました。

何より、さくらのVPSはSSL対応をはじめ、各種設定が簡単です。設定項目がすべて日本語で扱いやすく、開発者がアプリの開発に集中できる環境が整っています」(八木氏)

これらの理由から、八木氏は以前からさくらのVPSを利用しており、運用実績も豊富にあったといいます。

株式会社カネトがシステム化の検討を始めたのが2022年3月。松井氏のヒアリングを基に八木氏がサンプルシステムを作ったのは同年5月で、同年8月には本番システムの稼働が始まりました。

「正直、私は松井さんと八木さんにおまかせでした。自分が手を動かしたのは、サーバーの契約などの1時間程度だった気がします」(土橋氏)

かつらぎ商工会の新堀氏(右手前)。3社を引き合わせた恩人だという

かねてからの課題が解消、より付加価値の高いサービス提供へ

現在、新システムは11台のiPhone、2台のiPad、2台のPCで運用されています。八木氏によれば「導入後は大きなトラブルはなく、スムーズに稼働している」とのこと。土橋氏も「とても満足しています」といいます。

「情報がデータベースとして整理され、扱いやすくなりました。これまで限界を感じながらマンパワーでやってきた作業が楽になり、さらに新たな付加価値をつけるためのサービスも実装してもらっています」(土橋氏)

さらに今後の事業展開については「より深く深化し、地域に根ざしたサービスとして掘り下げたい」とのこと。

「われわれのサービスの強みは、人と人のつながりです。見守りを通して、地域の高齢者のQOL(生活の質)を上げ、本人やご家族が安心して暮らせる社会を支えるシステムを作りたいですね」(土橋氏)

松井氏も、プロジェクトマネジャーを担当するなかで「介護食の宅配サービスは、今後の地域高齢化社会を支えるプラットフォームサービスになるものだと感じた」と語りました。

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株式会社カネト
事業内容
在宅配食サービス「宅配弁当どばし」の運営
設立
2004年

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