導入事例

さくらのCDNが古典の「推し」文化を支える 上方落語配信サービス「莵道亭」導入事例

アイ・オーシステム株式会社 様

導入サービス

さくらインターネットの「ウェブアクセラレータ」は、コストを抑えながら高速・安定を実現するCDNサービス(※)です。ウェブアクセラレータを利用して上方落語に特化したライブ配信サービス「莵道亭」を運営するアイ・オーシステム株式会社の代表取締役社長 井上 惠介さん、「莵道亭」開発・運営担当の石井 洸希さん、津田 龍之介さんにお話をうかがいました。 (※)CDN(Content Delivery Network)とは、オリジンサーバー(お客様のサーバー)のデータをCDNサーバーへキャッシュし、データの配信を肩代わりするサービスです。

課題
コロナ禍で普及した既存大手配信サービスでのオンライン公演は、演者側への収益還元率が低くなりがち。一方で配信サービスを独自開発するには、プラットフォーマー側の運用コストもかかる
CDNサービス導入時、開発運用担当者の習熟に時間や手間がかかる可能性がある
効果
プラットフォーム運営にかかる金銭的・時間的コストを低減。演者への収益還元率を高められて、かつ運営側の採算も取れており持続的に事業運営できている
管理画面がシンプルで直感的に使えるため、操作が容易で俊敏性高くサービスを提供できている

コロナ禍で始まったエンターテインメント業界の苦境にデジタルで挑戦

井上氏:当社は1990年に創業しました。制御用ワンボードマイコンの研究開発から始まり、当時の最新技術であったPC-98シリーズを活用した販売管理システム開発などを手掛けていました。その後もつねに最新技術を取り入れて事業を展開し、現在は観光情報システム、学習塾向けシステム、人事評価ツールなど、官公庁や教育機関向けのソリューション開発や、クラウド技術、AIを活用した新サービスを開発・提供しています。

「莵道亭」は2022年開始の、上方落語に特化した有料配信サービスです。コロナ禍でエンターテインメント業界が難しくなり、とくにファンの年齢の高い分野は従来の公演形式を続けにくくなるなかで、知人の落語家に「オンラインで収益化できる仕組みがほしい」という相談を受けて構想・構築しました。

アイ・オーシステム株式会社 代表取締役 井上 惠介氏

「演者ファースト」の高収益サービスのために必要なものは?

井上氏:莵道亭が提供するのは、上方落語のストリーミングとアーカイブ配信です。ユーザーはサブスクリプションに加入するか、チケットを購入して配信を視聴します。

当サービスの特徴は、収益の大部分が演者に還元される点にあります。大手他社のサービスでは、配信者のおもな収益源は広告掲載や「投げ銭」です。さらに、そのなかからプラットフォーマーの取り分を引いた残額が配信者の取り分となるため、収入が非常に不安定で、オフラインの公演のような収益性はなかなか得られません。

しかも落語は「落語家や落語文化を支えたい」というファンの熱意が高く、ファンの側にもお金を払いたい需要がありました。そこで「きちんと払う方法があり、払った額の大部分が演者に還元される専用のサービス」として、莵道亭を開発しました。

津田氏:これらを実現し、かつ持続可能な事業として回すには、プラットフォーマー側の運用コストを可能な限り下げる必要がありました。そのなかで、国産CDNのなかでもとくに低価格で利用できるサービスとして、さくらインターネットのウェブアクセラレータを使うことにしました。

アイ・オーシステム株式会社 「莵道亭」運営・開発担当 津田 龍之介氏

優位性は「安さ」と「必要な機能へのアクセシビリティ」

石井氏:上方落語の市場は、それほど大きくはありません。莵道亭の同時接続数も、100~200人程度と、外資系の大手配信チャンネルと比べたら小規模です。しかし、「初期費用ゼロ、アウトバウンド転送量が5円/GiB」というシンプルな料金体系のおかげで、それでも十分に採算が取れるサービス構造になっています。

安定性は高く、ネットワークトラブルやサーバーの負荷増大による配信停止といった問題はこれまで一度も起きていません。突発的なアクセスの急増にも対応でき、安心して運用できています。

津田氏:操作が非常にわかりやすく、直感的に使えるので助かっています。とくに管理画面がシンプルで、SSLサーバ証明書の更新なども「コピー&ペースト」だけで済むため手間がかかりません。他社の大手サービスだと、独自の操作が必要であったり、われわれにとっては不要な機能の習熟が必要になったりするため、いまのような俊敏性のあるサービスの提供は難しかったと思います。

ダッシュボードも使いやすく、知りたい情報がすぐにわかります。リクエスト数、転送量、キャッシュヒット率の状況がリアルタイムでわかるのでシステム負荷の予測が立てやすく、ラクに運用できます。

井上氏:国産サービスであることも大きなメリットです。為替リスクの影響が小さいこと、データを国内にとどめておけること。そして何より、日本の文化を発信するサービスとして、国内事業者のインフラを使うことは大切だと考えています。

アイ・オーシステム株式会社 「莵道亭」運営・開発担当 石井 洸希氏

これから利用を考える人へのアドバイス

井上氏:市場シェアという意味で、海外大手ベンダーのサービスを使っている事業者さんが多いのではないかと思いますが、さくらインターネットのウェブアクセラレータもぜひおすすめしたいです。ウェブアクセラレータは、ベンダーに依存するような独自の技術や知識なしで利用できる「わかりやすさ」が特長だと思います。そのため、一定の技術力がある企業であれば、他社の大規模なサービスよりもコストパフォーマンスに優れた開発ができるはずです。

莵道亭のような「ファンが支える文化」にマッチした有料制の配信サービスは、ほかの娯楽にも転用できると思います。ウェブアクセラレータはとにかく料金がリーズナブルなので、ローコストでさまざまなプラットフォームサービスを開発・運用できるのではないでしょうか。

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事業内容
ソフトウェア受託開発業務、サーバー構築運営業務、電子機器(コンピューターなど)製造販売業務、サイトデザイン・制作業務
設立
1990年

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