さくらのクラウドと専用サーバを使ったオンラインゲームシステムの構築
高い要求が求められるオンラインゲームシステムについて、クラウドと専用サーバのぞれぞれの特長を組み合わせた最適な構成例を紹介します。
- 要求
- アクセスの急増/急減への対応
- 高速かつ安定した応答の維持
- 大量のアプリ配信トラフィックの処理
- 解決策
- クラウドを活用したシステム規模の拡大/縮小
- 専用サーバを併用した高速処理の実現
- コンテンツ配信環境を用いたトラフィック分散
クラウドを活用したアクセス急増/急減への対応
オンラインゲームは、アクセスが多い時期と少ない時期の差が激しいのが特徴のひとつです。アクセスが集中するのはイベント開催時などです。ゲームのシステムはこのような状況にも耐えられるように設計する必要がありますが、ピーク時に合わせてリソースを用意すると、それ以外の低トラフィック期においてはリソースが余り、ムダな設備投資となります。そこで、ゲームのシステムは、アクセスの急増/急減に応じてリソースを速やかに加減できることが求められます。
従来の物理サーバによるシステムでは、アクセスが急増したからといってすぐにサーバを数十台も増やすようなことはできませんでした。しかしクラウドを使えば、そのような要求にもわずかな時間で対応できます。また、クラウドでは、サーバの拡充だけでなく縮小も瞬時に行えます。ピーク時のみ台数を増やしてアクセスをさばき、それ以外の時期は最小限の台数で稼働させるという運用が可能です。
専用サーバを併用した高速かつ安定した応答の維持
オンラインゲームは常に良好な応答が求められます。システムの応答が遅いとユーザはストレスを感じ、そのゲームをやめてしまうからです。ユーザが快適にゲームを楽しむために、応答速度の速いシステムを構築・運用する必要があります。もちろん、システムが停止するような事態も防がなければなりません。ユーザが安心してゲームを楽しめる、可用性の高いシステム作りが求められます。
このようなシステムにおいてボトルネックになりやすいのは、データベース(DB)をはじめとするデータストレージ群です。従来はここにHDDを使用していたので処理速度に限界がありましたが、SSDの普及により高速化のメドが立ちました。さくらのクラウドでもSSDを利用して高性能なDBサーバを構築できます。さらに性能を追求したい場合は、DBサーバをさくらの専用サーバで構築し、ハイブリッド接続によりクラウドと接続して利用することも可能です。特にさくらの専用サーバはPCle Flashストレージを選択できます。これにより、SSDのさらに上を行く高速処理を実現できます。
コンテンツ配信環境を用いたアプリ配信トラフィックの処理
最近のオンラインゲームはスマートフォンなどのアプリで楽しむものが増えています。したがって、アプリのリリースや更新時はユーザが一斉にダウンロードを行い、大量のトラフィックが発生します。このとき、アプリの配信拠点が1か所しかないとトラフィックがそこに集中し、ダウンロードが遅延するだけでなくゲームのシステム全体にも悪影響を及ぼします。オンラインゲームのシステムはこのようなトラフィックも円滑に処理する仕組みを持つ必要があります。
ここで役立つのがコンテンツ配信環境(CDN)です。CDNを利用して配信拠点を増やすことにより、ユーザは自動的に最寄りのサーバからアプリを入手することができ、ダウンロード時間の短縮とともにトラフィックの分散を図ることができます。
システム構成と特徴 ~導入編~
このような要求に応える、オンラインゲームのシステム構成例をご紹介します。まず初期段階では、短期間でシステム構築や構成変更が行えるクラウドを利用します。この時期のシステムの特徴は以下の通りです。
すべてを仮想サーバで構築
クラウドでは、サーバの作成や削除、ネットワーク接続などの作業をコントロールパネル上で行いますので、物理サーバに比べてはるかに短時間でサーバを調達できます。
内部処理用サーバはローカルネットワークに接続
Webサーバなど外部からの接続を受け付けるサーバはグローバルネットワークに接続しますが、DBサーバのような内部処理用のサーバは外部に接続したくないという要求はよくあります。このようなときはローカルネットワークを作成し、内部処理はそちらのネットワークで通信するように設計すれば、より安全性の高いシステムを構築できます。
システム構成と特徴 ~拡張編~
サービスが軌道に乗り、ユーザが増えてくると、システムを拡張する必要に迫られます。また、規模が拡大しても以前と変わらずゲームを快適に楽しんでもらうために、システムにもさまざまな工夫が必要になってきます。この時期のシステムの特徴は以下の通りです。
クラウドと専用サーバの使い分け
クラウドは短時間で構築・変更が可能で、またアクセス増など状況に応じて瞬時に台数を変更できるのがメリットですが、定常的にある程度の負荷が見込まれる場合はクラウドでなく物理サーバを使用した方がコストが安くなるケースがあります。用途に応じてさくらのクラウドと専用サーバを使い分け、両者をハイブリッド接続機能を用いて接続することで、より高品質なシステムを低価格で実現できます。
専用サーバはPCle Flashストレージで高速化
オンラインゲームのシステムには高い応答性能が求められます。専用サーバの利用は高速化に有効ですが、さらに性能を追求したいときは、専用サーバのストレージをSSDでなくPCle Flashストレージにすることで、より高速な応答を期待できます。
サーバ群のユニット化とアクセスに応じた増減
オンラインゲームは繁忙期と閑散期の差が激しいのが特徴です。繁忙期は大量のアクセスをさばくために多数のサーバが必要になりますが、閑散期は少ない台数でも対応できます。このような増減への対応策として、サービスの提供に必要なサーバ一式をユニット化しておき、アクセス量に応じてユニット単位で追加・削除を行う方法があります。特に、サーバの台数が増えると追加・削除の作業が煩雑になりますが、さくらのクラウドではスタートアップスクリプトを用いて作業を自動化できるので、より効率良く確実な対応が可能です。
CDNの利用
ユーザ数が増えてくると、オンラインゲームで使用するアプリやデータの配信トラフィックも巨大なものになってきます。サービス開始当初はシステム内から配信していたこれらのデータも、規模が拡大したらコンテンツ配信環境(CDN)による配信に移行し、データのダウンロードがスムーズに行えるようにします。
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