荻野 秀策 氏
これに加え、同社 オフィスシステム営業部 営業3課 課長 荻野秀策氏は、専用サーバサービスの最大の魅力として「システム連携の柔軟性」を挙げています。
「最近では、単に勘定奉行だけを使いたいという要望は少なく、販売系のシステムやBIツール、貿易システムといった周辺システムと連携させて利用したいというニーズが多いです。クラウドではこうした連携ソリューションをカバーするのは難しいことが多いですが、さくらの専用サーバであれば基本的にオンプレミスの物理サーバ環境と同等なので、複数のアプリケーションを載せたり、互いに連携させたりすることも容易に実現可能です。」
OBC社が提供するクラウドサービスをはじめ、奉行シリーズをクラウドサービスとして提供する場合は通常、導入するアプリケーションの数や種類、さらにはユーザー数に応じて利用料金が決まります。例えば、勘定奉行だけをユーザー3人で使う場合には安価でも、これに併せて販売管理や人事・給与のアプリケーションも導入し、何十人ものユーザーで利用するとなると、一気に利用料金が跳ね上がってしまいます。
その点、オービックOA社がさくらの専用サーバを使って提供するサービスでは、ユーザーは各アプリケーションのライセンスを購入した後、さくらインターネットと直接契約を結んで専用サーバの利用料金を支払います。つまり、サーバの上にどれだけアプリケーションをのせようと、あるいはどれだけの数のユーザーでそれを使おうと、インフラの利用料金は変わらないのです。
こうしたメリットに着目し、さくらの専用サーバ上で勘定奉行と他のアプリケーションを連携させて利用するユーザーが増えてきているそうです。例えばとある企業では、勘定奉行と、在庫管理システム「蔵奉行」、販売管理システム「商奉行」、さらには輸出入・貿易業務支援パッケージのベストセラー製品「TOSS」をさくらの専用サーバ上に導入し、互いに連携させているとのこと。具体的には、海外から製品を輸入する際、まずはTOSSで外貨に対応した購買処理を行い、そこから在庫管理データを蔵奉行に、そして会計データを勘定奉行に自動的に流しています。さらに、輸入した製品を国内で販売する際には、商奉行で販売管理を行っています。
また、とある大手商社では、TOSSのすべてのモジュールと勘定奉行をさくらの専用サーバ上で連携させています。この場合は輸入だけでなく輸出も含め、すべての貿易業務をTOSSが担い、そしてバックエンドに控える勘定奉行と仕訳データを自動的にやり取りしています。
TOSSの開発元である株式会社バイナルで営業部長を務める山口達也氏は、「こうした形態での連携ソリューションの提供は、今後も増え続けていくだろう」と語ります。