導入事例

「ランサーズ式」クラウドソーシングにみるITインフラの使い分けとは

ランサーズ株式会社 様

企業がエンジニアやデザイナーに容易に仕事を発注できるクラウドソーシングサービス「Lancers」を運営するランサーズ。 お金のやり取りの代行や相互評価の機能など、個人にとっても「時間と場所にとらわれない」働き方が可能になる。同社のサーバインフラの活用例を聞いた。

課題
システムと異なる環境にサイトを置きたい
ランニングコストを抑えてサイトを運用したい
効果
さくらのVPS環境にサイトを構築し、DR対策
ランニングコストの低いVPSで構築し、コスト削減

企業と個人を結べば「すごいことが起こる」と起業

クラウドソーシングサービス「Lancers」を運営するランサーズ株式会社(以下、ランサーズ)は、同社のコーポレートサイトと自社メディア「Lancersマガジン」を「さくらのVPS」を利用して運用中である。

Lancersは、プログラマーやデザイナー、ライターなど個人(同サービスでは「ランサー」と呼ぶ)と、仕事の発注元(クライアント)との仕事をマッチングするサービスだ。創業者で代表取締役社長の秋好陽介氏は、サービスを構想したきっかけを次のように話す。

「新卒で就職した企業で働いていたころ、外部へ仕事を発注するときにミスマッチを感じた。稟議を出しても与信などの問題があり、いくら良質な発注先でも企業から個人へは発注がしにくい。これらの課題を担保できるサービスが欲しいと思ったが、探してもなかった。ということは、これを事業にすれば『すごいことが起こる』と考えて起業した」

こうして誕生したサービスLancersは、クラウドソーシングを成立させるためのさまざまな工夫を取り入れている。

1点目は成功報酬制度と評価制度を導入したことだ。決済の仮押さえ方式を採用し、報酬をクライアントからいったん預かり、成果物が納品されてクライアントがOKを出した段階でランサーに支払われる。これによりクライアント側、ランサー側の双方のリスクをなくすことができる。また、相互評価の制度があり、クライアントとランサーが評価を蓄積していくことで、双方の信頼を高めていく。さらに評価システムの「ユーザーランク」では、70以上に細分化したカテゴリー別に5階層(トップ、エキスパート、シニア、ランサー、ビギナー)に分けてランサーをランク付けする。特に上位の2階層は電話でヒアリングして認定する徹底ぶりだ。

2点目の工夫は24時間監視だ。不正なユーザーやトラブルへの対応も迅速に行う。ステルスマーケティングやアダルト関連など、違反事項のチェックを厳しく行っている。また、東京大学との共同研究で監視の自動化を試みている。不正な仕事依頼を96%の精度で自動検出した実績を持つという。

3点目はスキルテストだ。世界中で使われているオンライン試験システム「ExpertRating」を使い、PHP、Rubyなどのプログラミング言語や、Illustrator、Flashなどデザインツールのスキルを客観的な基準で認定している。これにより、例えば発注先にしたいランサーが「世界でトップ何パーセントに入るスキルを持っているか」を確認できる。

4点目は本人確認とNDA(秘密保持契約)の徹底だ。ランサーは匿名で仕事をするが、免許証やパスポートなどの書類で本人確認を行っている。NDAもオンラインで締結できる仕組みを整えた。

以上のような工夫と努力により、ランサーズでは対面ではなく、ネット上だけで発注、納品が完成する仕組みを作り、機能させている。2013年6月時点で、デザイナー3万人、エンジニア2万人、ライター2万人が「ランサー」として登録されている。そのうち上位100人は「Lancersだけで暮らせるレベル」の収入を得ているという。

複数社のITインフラを併用、メリットを評価して使い分け

秋好 陽介 氏

秋好 陽介 氏 現在のLancersのサービスは、他社のクラウドサービス上で稼働している。なぜ、ランサーズはコーポレートサイトや自社メディアではさくらインターネットのサービスを使っているのだろうか。

1番目の理由は、システムとは異なる環境にサイトを置きたかったからだ。「例えば、万が一、システム側のクラウドサービスがダウンした時、『サービスがダウンしています』というお知らせをお客さまに伝えることができない」(システム開発部マネージャー 木下慶氏)。サービスの告知のため、システムの稼働状況に左右されない別環境を確保したかったのである。

2番目の理由はコスト。「自社メディア『Lancersマガジン』もコーポレートサイトも静的なコンテンツ。こういったものにはさくらのVPSは特に向いている。それにトライアル期間は無料なので、導入の敷居が低い」(木下氏)。とりわけ同社は、資金調達をする前は自己資金で運営していたため「コストには人一倍シビアだった」(秋好氏)という。

そして3番目の理由は、さくらインターネットに馴染んでいたことである。秋好氏は次のように語る。「私自身が学生時代からずっと使っているので慣れているし、信頼ができる。さくらのレンタルサーバの使い方を自分のブログで書いていたぐらいだ。私以外にも、当社にはさくらのサーバに馴染みのあるスタッフが多い」(秋好氏)

Lancersの仕組みを定着させ、多様なマッチングを推進

Lancersは個人が匿名で仕事を受注できるサービスだが、その一方で「ランサー」個人の信用、実績を蓄積していくサービスでもある。Lancers上の評価は他のユーザーに対しても可視化されているからだ。
「Lancersのプロフィールが載っている名刺をもらったことがある。その人は、Lancersで評価されていることを誇りにしていた」(木下氏)

また、Lancersの仕事依頼の形態は、提案を出してもらう「コンペ」、一定期間がかかる仕事の工程を管理する「プロジェクト」、作業単位で発注できる「タスク」などの種類がある。例えばランサーが時給でプロジェクトの仕事を請け負う場合、ランサーのPCを監視して仕事の進捗を管理する仕組みも持っている。

Lancersの「タスク」で発注する仕組みをうまく使うと、多数のランサーに同時並行で作業を依頼できる。例えば、データ入力の作業を複数のランサーに同時並行で依頼することで、短時間で作業を終わらせることができる。「最近の事例では、1万8000件のデータ入力を1日半で処理した例がある」(ビジネス開発部部長 山口豪志氏)。このように、用途に応じてマッチングの仕組みを使い分けられることもLancersの特徴となっている。

山口 豪志 氏

実は「さくらのクラウド」「さくらの専用サーバ」のサービスロゴはLancers活用事例の一つだ。秋好氏が語る『企業の発注方法を変えるクラウドソーシング』は、ますます存在感を増している。

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