膨大な学校ホームページをNFSオプション活用し一元管理
- 公的機関・その他
株式会社スキット
- クラウドサービス(IaaS)


奈良市では、社会システム総合研究所が開発した「Wi-Fi/Bluetoothパケットセンサー」を人の集まる観光施設や駅に設置し、人流解析を行っています。そのデータから人の滞留状況や移動の傾向が把握でき観光政策やまちづくり、防災などに役立てています。これらのシステムは、さくらのクラウド上で構築されています。 今回は奈良市役所のCIO中村眞氏と社会システム総合研究所の代表取締役である西田純二氏へ、解析システムにさくらのクラウドを採用した理由や導入効果、今後の展望などについて詳しくお伺いしました。
社会システム総合研究所では、20年以上にわたり公的機関向けシステムの開発や人流解析システムの研究開発を続けてきました。その一環として、「Wi-Fi/Bluetoothパケットセンサー」(以下、Wi-Fiパケットセンサー)を用いた人流解析システムの提供および、コンサルティングを行っています。この技術はスマートフォンが発するWi-Fi信号を解析し、個人を特定せず人の流れや移動経路を計測する技術を商品化したものです。

これまで自治体で現地調査を行うときは、人による目視カウントやアンケートが中心となり、コストや調査範囲が限られるなどの課題がありました。これに対し、本技術を採用することで人手をかけずに人流解析を行えるようになり効率化が進んだのです。
関西圏では、「関西広域流動解析コンソーシアム」を設立し、複数の団体や機関がそれぞれ異なる目的でWi-Fiパケットセンサーを用いた人の流動調査を行っていました。その中で奈良市ではコロナ禍拡大への対策としてWi-Fiパケットセンサーの仕組みを導入し、人流解析を実施するようになりました。市民と奈良市を訪れる観光客の安心と安全の確保のために、市内主要地点の混雑状況を把握しています。
「人流解析は、特定の観光地に人が集中する課題を解決するため、観光客の行動実態を把握し、観光戦略にも役立てています。Wi-Fiパケットセンサーでは、ある特定の場所の状況だけでなく、同一の携帯電話端末がどこからどこに移動しているのかを一連で計測することができます。データも匿名化されており安心で、来訪経路や回遊傾向を把握できるため、観光戦略の立案にも活用しています」(中村氏)。

取得したデータは、厳密には個人情報には当たりません。ただ、連続して人流の解析を行い他のデータと突合していくことにより、個人が特定されるリスクはあります。
そこでデータの取り扱いはセキュリティを重視し、デジタル庁が整備・運用している政府共通のクラウド基盤であるガバメントクラウドの利用を検討していました。そのような中、社会システム総合研究所では、さくらのクラウドが国内で初めてガバメントクラウド向けのクラウドサービスに条件付き認定されたことを知ったのです。
「さくらインターネット自体は、昔からサーバーを利用させてもらっていたこともありよく知っていました。この人流解析は市民や観光客のデータを扱うため、経済安全保障の観点からも海外クラウドサービスではなく、国内クラウドサービスである、さくらのクラウドを採用しました。同サービスは、2018年の北海道胆振東部地震で北海道全域がブラックアウトした際にも停止することなくサービス提供を継続しており、その安定性も評価していました。そのほか、奈良市役所が行っているような公的サービスの利用では、どうしても平日の日中に負荷が集中してしまうことがあります。その点クラウドサービスなら、CPUの負荷が高まったときにはスケールアウトができ、負荷に応じた計算資源を持てば、リソースを最適化できます。そのため、コストを抑えられるのも採用理由のひとつでした」(西田氏)。
さらに国内クラウドサービスは為替変動の影響を受けにくいといったメリットもあります。
「海外クラウドサービスでは為替が大きく変動することで、毎月のように利用料が変わってしまいます。その点、転送量課金もなく定額で利用できる国内クラウドサービスである、さくらのクラウドであれば安心です」(西田氏)。
また、さくらインターネットには、さくらのクラウド以外にも1台まるごと専有できるさくらの専用サーバPHY(以下専用サーバ)があります。専用サーバはクラウドに比べてストレージ単価も安いので、その専用サーバとさくらのクラウドをローカル接続してシステム構築することで、低コストで高機能なシステムを組み上げることができます。データのバックアップなど、日常的にアクセスしないデータは、クラウドではなく専用サーバのストレージに保管しておくといった柔軟な対応ができるようになるのです。

Wi-Fiパケットセンサーは、大阪・関西万博の会場にも取り付けていますので、大阪・関西万博から奈良市の主要な駅への人の動きも解析できるようになっています。
「人流解析はコロナ禍における感染経路把握や商店街への来訪傾向分析などのほか、このような出発地(Origin)と目的地(Destination)を把握するオリジンデスティネーション解析にも役立てられるようになっています。この仕組みを支えているのは、さくらのクラウドだと考えています」(中村氏)。
このように様々な事例に活用できる人流解析技術ですが、大量のデータを解析するためにはシステムの維持コストが課題となっています。今後も人流解析を継続していくには、経済的に維持するためのビジネスモデルの再構築が必要となるでしょう。
「人流解析に興味を持つ事業者や団体、自治体などに声をかけ、安定した運営ができる組織にしていく必要があると考えています」(西田氏)。
今後の活動展開については、海外での運用も検討しています。
「熱帯に位置する国々では平均気温が高く、自然吸気だけでデータセンターの機器を冷やすことはできません。データセンターの運営費用の大部分は空調費となりランニングコストも高くなってしまいます。そこで北海道石狩市にある石狩データセンターを活用することを考えています。通信にミリ秒単位の遅延が生じても、運用上問題のないサービスは多くあります。実際、東南アジアのラオスでは、救急医療サービス(EMS)支援システムで活用されています。今後も安定したビジネスモデルを構築し、さらなるデータ活用の場を広げていければ嬉しいですね」(西田氏)。
こうした海外展開を見据えた取り組みが進む中で、さくらインターネットへのさらなる期待もあるといいます。

「政府共通のクラウド基盤であるガバメントクラウドの整備はまだ始まったばかりです。その中で国内クラウドベンダーとして唯一採択された、さくらのクラウドには、より信頼性を高めていってほしいと思っています。また、さくらインターネットのクラウドサービスを、AIを活用して人流解析や行政データの処理などを行うことにより、さらなる業務の効率化につながると考えています」(中村氏)。
また、西田氏もユーザー視点での改良に期待を寄せます。
「ユーザーのアクセス状況を分析し、夜間や休日など負荷の低い時間帯の利用料が安くなる仕組みができれば、さくらのクラウドは、より柔軟なサービスになっていくと思います」(西田氏)。
【ご担当者の声】
株式会社 社会システム総合研究所
代表取締役 西田純二 氏
「人流解析を自動化できないかと研究。比較的安価に人流データが取れることから、Wi-Fiパケットセンサーを商品化しました。」
奈良市役所
CIO 中村眞 氏
「観光戦略に活用する人流解析では膨大な計算が行われますので、さくらインターネットの高火力なGPUクラウドにも期待を持っています。」
ガバメントクラウドの注記:※ 2025年度末までに技術要件を満たすことを前提とした条件付き
奈良市

人口:約34.5万人(2025年12月1日時点) 面積:約277平方キロメートル
URL:https://www.city.nara.lg.jp/
※掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。
