導入事例

泉佐野市の行政DXを加速 さくらのクラウド×GaaSで実現

ウイングアークNEX株式会社 様

行政向けDX支援サービスを提供しているウイングアークNEX株式会社。そんな同社の提供するクラウドソリューションの基盤には、さくらのクラウドが活用されています。主力プロダクトの「SMART L-Gov CMS」とオンライン行政プラットフォームの「GaaS」は関東・関西圏を中心に自治体への導入が増え、そのなかでも成果を上げているのが大阪府泉佐野市です。同市では「GaaS」を活用し、行政手続きのオンライン化を進めています。 今回は、ウイングアークNEX株式会社 小西 拓也氏と、泉佐野市広報公聴担当理事福岡 裕司氏・デジタル化推進担当参事(取材当時)吉峯正二氏にインタビューを実施。さくらのクラウド導入の背景から、「GaaS」の機能や特徴、泉佐野市が推進するDXの取り組みまで聞きました。

課題
「SMART L-Gov CMS」の導入数が増加するにつれて、よりスペックの高いクラウドを検討した
従来のクラウドでは、大量アクセスに伴うトラフィック負荷が課題
自治体が被災した際にデータセンターも同じように被災し、緊急情報などの配信ができなくなることを危惧した
効果
「さくらのクラウド」導入後、問題なく稼働しておりスペックに満足
トラフィック負荷が高まっても、安定稼働を実現
石狩データセンターの存在で、主要顧客である関東・関西圏の自治体との同時被災を回避

行政DX支援に圧倒的強みをもつウイングアークNEX

ーーまず、ウイングアークNEXの事業内容について教えてください。

当社は「データの力で行政と人を結び、持続可能で暮らしやすい地域をともにつくる」をミッションに掲げ、自治体向けのITソリューションを提供しています。中核となるプロダクトは、地域情報プラットフォーム「SMART L-Gov CMS」。これは、日常の行政サービスから緊急時の避難情報まで、地域住民へ迅速かつ正確な情報の配信が可能となるクラウド型のCMSです。

すでに全国400自治体で導入されており、行政向けのクラウド型CMSとしてはトップシェアを誇ります。視覚に不自由な方や外国人の方などでも必要な情報を取得できる、高いアクセシビリティが特長です。

ほかに、オンライン行政プラットフォーム「GaaS」、公共施設予約システム「ラクリザ」も提供しています。

ーーGaaSの導入数も続々と増えているとお聞きしました。どのようなサービスなのか教えてください。

「GaaS(Government as a Service)」は、申請・手続きをはじめとする行政サービスをデジタル化するオンライン行政プラットフォームです。内容はオンライン化を加速するための調査・分析サービスの「Arrange」、自治体内のすべての手続き情報を網羅したポータルサイトが作成できる「Port」、目的の手続きへ適切にナビゲートする「Navi」、オンライン上で申請・手続きが可能となる「Form」です。その中でも「Arrange」は、公式HPで掲載している手続き情報の棚卸しが可能なため、オンライン化に必要な現状把握に関する作業負担を下げることができ、自治体のみなさまから大変好評をいただいています。

「さくらのクラウド」で安定稼働を実現、サーバーダウンは5年間一度もない

ウイングアークNEX株式会社
営業本部 公共クラウド営業部 部長
小西 拓也氏

ーーウイングアークNEXで提供するサービスのインフラ基盤には「さくらのクラウド」が活用されています。導入理由について教えてください。

2020年頃に、他社のデータセンターを活用していたのですが、「SMART L-Gov CMS」の導入数が増えるにつれて、よりスペックの高いデータセンターを探していました。そこで、「さくらのクラウド」を紹介してもらいました。私たちのお客さまは都内や関西方面の方が多く、石狩データセンターは災害時にエリアが異なるため、同時に被災しないということが魅力的に映りました。また、国産ベンダーということで、何かあった際にすぐにサポートしてもらえるだろうという安心感もあり、導入を決めました。

ーー実際に導入して、どのような効果がありましたか。

想像以上に安定稼働していて、驚きました。大量アクセスに伴うサーバーダウンは、「さくらのクラウド」を5年ほど稼動させていますが一度もありません。また、従来のクラウドではトラフィックに関する上限値が一定数決まっている一方、「さくらのクラウド」は災害発生などの緊急時の際は帯域幅を広げられます。地域住民にとって緊急時の行政からの情報は非常に重要なものですので、通信低下などを抑えられるのは安心感につながると思いました。ほかに、自治体へ当社サービスを導入する際に、インフラ基盤について説明すると「ガバメントクラウドに採択されているさくらさんね」という風に安心してもらえることも多いですね。

ーー現在、大阪・泉佐野市との取り組みにも注力されています。

泉佐野市は行政手続きのオンライン化を推進しており、既存手続きの洗い出し、手続きに関するポータルサイト、オンラインフォームの作成に至るまで、当社の「GaaS」で支援しています。

「Port」、「Form」、「Arrange」、「Navi」のすべての機能を導入していただいたファーストユーザーで、個人的に思い入れのあるお客さまでもあります。庁内で眠っている手続きを一括に集約し、ともに新しいサービスを創れた実感がありますね。今後も、引き続き泉佐野市のオンライン申請が加速できるように支援していきます。

現在は、導入から3年ほど経っており、担当者も替わっていることが多いため、操作に関するレクチャーも定期的におこなっています。

ーー今後の展望についてお聞かせください。

ウイングアークNEXは、スマートバリューの「デジタルガバメント事業」をカーブアウトした会社です。BIツールトップシェアのウイングアークと連携したことで、両社の良い部分をかけ合わせ、よりよいサービスへ発展していけると考えています。そのためにも、システムの基盤となる「さくらのクラウド」は重要な存在ですので、今後もご協力をお願いします。

「Arrange」を活用し、1000件強の手続きを洗い出せた

泉佐野市 広報公聴担当理事
福岡 裕司氏

ーー次に、「SMART L-Gov CMS」と「GaaS」を導入された泉佐野市にお聞きします。行政手続きのオンライン化に舵を切った背景について教えてください。

令和3年度に策定した「DX推進全体方針」のなかで、行政手続きのオンライン化を重点施策に掲げていたからです。デジタル推進担当も同年に庁内に設置しました。

ーー行政手続きのオンライン化を実際に取り組む際に、どのようなことを課題に感じましたか。

オンライン化に伴う、手順書のようなものは国から示されているのですが、それだけでは足りないと感じていました。たとえば、各課の課題、現状の手続きフローなどを鑑みると、すべての手続きをオンライン化することは難しい。では、どの手続きならオンライン化できて、どの手続きができないのか、全体を把握する必要があると感じました。

行政手続きの棚卸しですね。職員さんの業務負担が増えそうです。

そうなんです。通常、棚卸し作業をおこなう場合は、調査票を各課に配布し、それぞれの課で実施しているすべての手続きの詳細を書き出してもらう必要があります。各担当者は自分の業務しか答えられないと思いますので、それぞれの課内で照会をかける必要があるでしょう。そうなると、各職員は通常業務にプラスして調査票の記載業務が発生します。業務負担が増えることは明白でした。

ーーそうした課題を解決できるソリューションとして「GaaS」を導入されたのですね。数あるサービスから「GaaS」を選んだのはなぜでしょう。

導入したのは令和4年で、以前から「SMART L-Gov CMS」を活用して市のHPを運用していましたので、連携の観点から利便性を感じていました。また、「Arrange (調査・分析サービス)」の機能にも惹かれました。

ーー実際、「Arrange」をどのように活用しましたか。

まず、市の公式HP上でWebスクレイピング※を実施し、すでに掲載してある手続きや申請方法などをすべて洗い出しました。実に1,000件以上の手続きをクローリングできました。その後、エクセルに出力された手続き一覧を各課に確認してもらい、不足している情報や文言を追記してもらいました。このような方法で洗い出しをおこなった結果、前述した調査票による記載業務よりも、かなりの負担減少につながったと思います。

※Webサイトから情報を抽出するコンピュータソフトウェア技術

ーークラウド活用についてもお聞きします。システムの基盤を意識されないことも最近は多くなっていると思いますが、「GaaS」でさくらのクラウドが基盤で動いていることは御存じでしたか?

存じておりました。ただ、どのような基盤でどういうサービスを提供しているのか、までは詳しく把握していませんでした。

ーーシステム基盤が国産クラウドであることに対して、期待や懸念などはありましたか?

海外に比べて、セキュリティ面や障害が発生した場合に、国産ということで言語の壁がなく、スピード感には安心感がありました。ただ、海外サーバーを持つ大規模クラウドの魅力である、「BCP対策などはどの程度されているのか?」という懸念はありましたね。

洗い出しからポータルサイト公開まで約4カ月という短期間で完了

泉佐野市 デジタル化推進担当参事
吉峯 正二氏(取材当時)

ーー行政手続きのオンライン化について、ウイングアークNEXからどのような支援がありましたか。

Webスクレイピングによる既存手続きの洗い出し、その後の各課の追記箇所を分析し、調査レポートを作成していただきました。レポートには、1つの手続きに必要な作業量、時期や対象者数、対面事務の必要性などを踏まえて、オンライン化できるかできないかについて、手続きごとに点数化してもらいました。点数化によりオンライン化しやすい手続きがわかったので、私たちから率先して各課に「この手続きはオンライン化がすぐできるんじゃないか」と働きかけることができましたね。洗い出しからポータルサイト公開までは約4カ月という短期間で完了しました。

また、「公式HP上で古くなった情報に気付き、更新できた」などの副次的効果もありました。

「SMART L-Gov CMS」との連携についてはどうでしたか。

更新作業がやりやすいですね。CMSの編集画面とGaaSの編集画面をボタン一つで行き来できるため、たとえばCMSで情報を更新した後、すぐにGaaSの更新を実施できます。それぞれ他社のサービスだとログインし直す手間が発生し、片方のサイトで情報の抜け漏れなどのミスが発生するかもしれません。そうしたミス防止の観点からも大変助かっています。

さくらのクラウドの導入を検討されている自治体へ何かアドバイスはありますでしょうか。

サーバーを意識してシステム導入を実施する自治体はあまりないかもしれませんが、セキュリティ、BCP、可用性、サポートなどトータル面で検討していただくことと、システム提供事業者が自信を持って勧めてくれるクラウド事業者を選定することがいいと思います。

今後の展望について教えてください。

「手続きナビゲ―ション(Navi)」機能を活用し、結婚、出産、転入、転出など、ライフシーンごとに手続きを一覧化していますが、現在整備をおこない、さらなる利便性の向上を目指しています。

また、今回のオンライン化に関する一連の工程を通して、今後国や市による新たな施策が発表された際に、当庁では今後新規の手続きに関して、最初からオンライン化を検討できる体制が整ったように感じますね。

今後は、市の公式HPと今回作成した手続きポータルサイトのすみ分けはもちろん、スーパーアプリやプッシュ型通知などの活用も検討していければと考えています。どうすれば市民の皆さんに「いまよりわかりやすく情報発信できるか」を念頭に、さまざまな方法を模索していきます。

さくらインターネットに期待することがあればお聞かせください。

従来型のシステム間で個別に処理し、データ管理や活用をおこなう時代から、今後はシステムとサーバー間でのデータ連携や機能連携(API連携)などを通し、市民のみなさんが別システムだとの認識を持つことなく、よりスムーズに市からの情報を得られたり、手続きができるようになれればいいですね。

そうした市民側のUI・UXの向上にあわせて、管理処理する職員側の利便性向上も望んでいます。

現時点では、GaaSという一つのシステムですが、さまざまなシステムがクラウド間で連携し、各システムのよいところを活用できればと期待しています。

取材協力

泉佐野市 
URL:https://www.city.izumisano.lg.jp/index.html

※掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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ウイングアークNEX株式会社
事業内容
クラウドソリューション事業
設立
2025年6月

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