登録ユーザー数300万人以上のeラーニングシステムを支えるさくらのクラウド
- WEBサービス&アプリ提供者
チエルコミュニケーションブリッジ株式会社
- クラウドサービス(IaaS)



株式会社ICSパートナーズは、中堅〜大手企業向けの会計システムの開発・販売を手がける専門ベンダーです。現在は、主力製品である戦略情報会計システム「OPEN21 SIAS」を、自社クラウドサービス「ICSクラウドサービス」上で提供しており、そのクラウド基盤には「さくらのクラウド」を採用しています。 本事例では、中堅〜大手企業のお客様に対して、技術力とコストパフォーマンスに優れたクラウドサービスを提供するために「さくらのクラウド」を導入した背景と、その効果についてご紹介します。
株式会社ICSパートナーズは、1980年に中堅〜大手企業向けの会計システムを専門に開発・販売するベンダーとして設立されました。1999年には東京・大阪・名古屋・札幌・福岡の5拠点体制を確立し、現在に至るまで、システムの開発から販売、納品サポート、メンテナンスまでを一貫して提供しています。
近年では、AIやLLM(大規模言語モデル)、RPA(Robotic Process Automation)などの先端技術への取り組みとして、京都リサーチパークにラボを開設。さらに、2020年には山口県に開発子会社「ICSP idea」を、2023年にはベトナムに「ICSP VIETNAM」を設立するなど、製品とサービスのさらなる拡充を進めています。
同社では、一般企業向けに開発された会計システム「OPEN21」をベースに、経営支援を目的とした管理会計と財務会計の一体型戦略情報会計システム「OPEN21 SIAS」を主力製品として展開しています。
当社では、企業の経理業務を支援する会計システムの開発・販売を主力事業として展開してきました。そうした中で、経営判断に役立つ情報をより迅速に把握したいというニーズが高まり、従来の財務会計に加えて、管理会計の視点を取り入れる必要性を強く感じるようになりました。そこで、既存の財務会計システムに管理会計機能を組み合わせ、より実践的な経営支援ツールとして再構築。戦略情報会計システム「OPEN21 SIAS」として、2016年1月より販売を開始しました。(石野氏)

従来の会計システム構築では、サーバー環境をお客様側でご用意いただくケースが一般的でした。しかし近年、同業他社でもクラウド型の会計システムが増加しており、お客様からも「クラウドファーストで会計システムを検討したい」といったご要望をいただく機会が増えてきました。
こうした背景を受け、当社ではお客様満足度の向上と、より迅速かつ信頼性の高い対応を実現するため、自社でクラウド環境を構築し、サービスを展開する方向へと舵を切りました。
当初は、お客様のニーズに応じて営業拠点ごとに異なるクラウドベンダーを活用していましたが、ベンダーごとにサービス範囲に差があり、打ち合わせに時間を要したり、認識の違いによる誤解が生じたりするケースも見受けられました。(石野氏)
そこで同社では、クラウド環境の安定運用とサービス品質の向上を目的に、クラウドベンダーの集約化を進めることにしました。選定にあたっては、以下の3つの条件を重視しています。
1. 高度な技術的知見
同社が提供する会計システムは、業務の性質上、内部統制への対応など信頼性・堅牢性が求められるため、技術力の高いベンダーであることが必須条件でした。
2. 日本市場への対応力
日本特有の業務要件に対応する必要があるため、日本市場に精通し、国内のニーズに柔軟に対応できるノウハウを持つことが求められました。
3. コストパフォーマンスと安定性
お客様のランニングコストに直結するため、コストパフォーマンスの高さは重要な要素です。また、為替変動の影響を避けるため、国内に本拠を置くクラウドベンダーであることも重視されました。
加えて、サーバー規模に応じた利用料金はお客様自身が直接負担する仕組みであるため、クラウドサービスのコストパフォーマンスの高さは、選定において特に重要なポイントとなりました。
クラウドサービスに求める要件が、さくらインターネットの「さくらのクラウド」と高いレベルで合致していたことから、同社では「ICSクラウドサービス」のクラウド基盤として「さくらのクラウド」を採用しました。
これにより、会計システムの提供において、インフラからアプリケーションまでを一括で提供するワンストップ&オールインワンソリューションを実現。お客様にとっても、よりスムーズで安心感のあるサービス提供が可能となりました。
社内でも「さくらのクラウド」を実際に利用し、操作性や利便性を確認したところ、満足度が高く、サービスとしての展開を決定しました。
以前は、商談のたびに営業担当者がクラウドベンダーと個別にやり取りを行い、ユーザー数やライセンス数、セキュリティ要件などをヒアリングしながら、都度見積もりを作成していました。クラウドベンダーごとに提供内容が異なるため、見積金額にも差が生じ、内容の確定には平均して1週間程度を要していました。
こうした課題を解決するため、「さくらのクラウド」の導入にあわせて、大阪本社の開発本部ICTチーム内にクラウド専門チームを新設。さくらインターネットからの技術支援を受けながら、社内で見積書のテンプレート化を実現しました。
これにより、お客様からユーザー数やライセンス数、要件を確認できれば、ほぼ即日で見積書を作成できる体制が整いました。従来は三者間(お客様・クラウドベンダー・当社)で行っていた調整の工数も大幅に削減され、営業担当者の対応スピードが飛躍的に向上。結果として、お客様からの信頼も深まり、クラウド導入のスピードが加速していると実感しています。(増田氏)

見積もり対応だけでなく、システム納品後のお問い合わせに対しても、さくらインターネットと連携しながら、二人三脚でリモートサポートを行える体制が整いました。
「会計システム導入後には、初期設定や操作方法に関するご質問、障害対応のご依頼など、さまざまなお問い合わせをいただきます。その際、従来はリモートサポート用のクライアントツールをお客様側にインストールしていただく必要があり、都度承認を得る必要がありました。しかし、承認が得られず、結果としてリモート対応ができないケースも少なくありませんでした。
一方、『さくらのクラウド』は当社が構築・納品しているクラウドサービスであるため、メンテナンス用ライセンスを当社内で保有しています。これにより、新たなツールのセットアップが不要となり、クラウド基盤を通じて、当社のサポート部門が直接お客様のデスクトップ画面を確認しながら対応できるようになりました。
お客様への迅速な対応が可能になっただけでなく、ユーザーサポートにかかる工数の削減にもつながっていると感じています。」(石野氏)

「会計システムとクラウドサービスを一体で比較検討される際には、他社サービスとの価格差がシビアに見られます。その点、『さくらのクラウド』は価格面での優位性があり、多くのお客様から高い支持をいただいています。
もちろん、セキュリティの確保や安定した稼働といった要素も重要です。『さくらインターネット』が国内ベンダーとして豊富な実績を持っていることに加え、日本政府の共通クラウド基盤『ガバメントクラウド※』に認定されている点をお伝えすると、お客様にも安心感を持っていただけます。」(増田氏)
※2025年度末までに技術要件をすべて満たすことを前提とした条件付きの認定
こうした信頼性に加え、お客様からは今後のサービス展開に対する期待の声も寄せられています。
「さくらのクラウド」は現在、24時間稼働のサービスとして提供されていますが、会計システムを利用する多くのお客様は、業務量が季節によって変動する経理部門が中心です。たとえば、通常は平日日中のみの稼働であっても、3月決算後の4〜5月には株主向けの決算報告に向けた集計処理が必要となり、早朝・夜間・休日にも稼働するケースがあります。
「時期によってクラウドの提供時間を柔軟に変更できる可変型サービス、たとえば1日あたり12時間の提供や平日のみの提供などが選択できることで、より安価にクラウドサービスを提供できます。そうした柔軟なサービスを希望されるお客様は少なくないと考えています」(石野氏)
今後、会計システム業界では、BPO(Business Process Outsourcing)や経理業務の電子化がさらに進み、社外からも安全に接続できる環境の整備がますます求められると見込まれています。特に、同社のような再販型ビジネスを展開する企業においては、お客様視点による客観的な評価がより重要となります。
「この領域において、さらに納品実績を積み重ね、提案力やサポート体制を強化することで、全国の経理部門の業務電子化やペーパーレス化を支援していきたいと考えています。AIによる請求書の読み取りや、ソフトウェアの自動操作といった先端技術の研究も進めており、今後提供できるサービスの幅はさらに広がると想定しています。『さくらのクラウド』の多彩な納品形態への対応を通じて、クラウドを活用した事務系システムの構築・運用におけるノウハウを、今後も一層蓄積していこうとしています」(石野氏)
※掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。
